840:眼内レンズとは
こんにちは。新宿東口眼科医院です。
寒の入りを迎え、日増しに冷気が深まるこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今週のテーマは「眼内レンズとは」です。
【白内障手術と眼内レンズ】
目の中には水晶体と呼ばれるカメラのレンズのようにピント調節の役割を果たしている部分があります。水晶体が加齢などの原因で白く濁る疾患を白内障と言い、白内障が進行すると水晶体を取り除く手術が必要になります。しかし、水晶体を取り除いたままでは、常にピントが合わない状態になってしまうため、水晶体の代わりに眼内レンズと呼ばれる人工のレンズを目の中に挿入します。
【眼内レンズの種類】
眼内レンズには大きく分けて「単焦点眼内レンズ」「トーリック眼内レンズ」「多焦点眼内レンズ」があります。単焦点眼内レンズは最も多く使用されているレンズで、1点の距離にピントを合わせます。水晶体は厚くなったり薄くなったりすることでピントを調節しますが、人工の眼内レンズには調節能力がありません。また、単焦点レンズで1点の距離に焦点を合わせるため、レンズ挿入後はどの距離もはっきりと見えるわけではないため、ピントが合わない距離を見る際には眼鏡が必要となります。トーリック眼内レンズは、乱視を矯正することができる眼内レンズで、主に角膜の乱視の強い方に使用されます。乱視にも角度(軸度)があり、全ての乱視に適するわけではないので、検査の結果を踏まえた医師との相談が必要です。多焦点眼内レンズは複数の距離にピントを合わせるため、単焦点レンズを挿入するよりも眼鏡のかけはずしの負担を減らすことができます。しかし、複数の箇所に光が分散しコントラスト感度が落ちるため、単焦点レンズに比べて見え方の質がやや劣ります。また暗いところでは、光の周りに輪が見える「ハロー現象」や、光が眩しく見える「グレア現象」が起こることもあり、見え方に慣れるまでに時間を要すると言われています。単焦点と多焦点それぞれのレンズのメリットとデメリットを踏まえた上で医師と相談し、ご自身のライフスタイルに合ったものを選択することが重要です。
【選定療養】
選定療養は、追加の費用(選定療養費)を支払うことで、保険適用の治療と保険適用外の治療を併せて受けることが出来る医療制度です。2020年3月までは、保険適用外の自費診療である多焦点眼内レンズを選択すると、保険診療である手術自体の費用も含めて全額患者様の自費負担となっていました。2020年4月以降は、多焦点眼内レンズを使用する白内障手術が選定療養の対象となり、多焦点眼内レンズに係る費用を自費で負担し、手術自体の費用は保険適用として受けられるようになりました。これまで全額自己負担であった費用が軽減された形で、白内障手術を受けていただくことができるようになりました。当院では多焦点レンズを使用した白内障手術を行っており、対象となる患者様には、診察時に詳細をご説明させていただいております。
- 上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談してください。
●一般の方向けですので医学用語が必ずしも厳密ではありません。
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●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。