813:円錐角膜とは?
こんにちは。新宿東口眼科医院です。
今週のテーマは「円錐角膜とは?」です。
【円錐角膜とは】
円錐角膜とは角膜が薄くなり、前方へ円錐状に突出してくる進行性の病気です。多くは両眼性で、初期の段階では診断がつきにくく乱視と診断されることもよくあります。角膜の屈折率が進行により変化していくので不正乱視と呼ばれる矯正しにくい乱視が進行します。
進行の度合いは人により様々で、数ヶ月の間に進行する場合もありますが、何年もかけて進行する場合もあります。20歳前後頃まで眼鏡あるいはソフトコンタクトレンズで矯正できた視力が矯正では足りなくなり、眼科を受診して診断されることもあります。
【原因】
現在様々な研究がおこなわれていますが、円錐角膜になる原因は解明していません。一般的には、遺伝性の病気ではないと考えられています。発症に性差(日本では男性:女性=3:1)があるため、ホルモンとの関連が推測されていますが、まだ確定しておらず、目をこするくせやアトピーとの関係が深いとも言われています。
【症状】
円錐角膜の初期の段階では、物の見え方がぼんやりする症状が挙げられます。この段階では普通の視力低下とあまり差がなく、気づかれないこともあります。進行すると、角膜が円錐状に突出し、物が歪んで見えたり、眩しさや光に過敏になる場合もございます。
また、中には両目の視力が極端に違うという訴えもあります。このような症状が出た場合は、すぐに眼科での検査を受けるようにしましょう。初期の頃は眼鏡でもソフトコンタクトレンズでも矯正可能で生活に必要な視力を充分に確保出来る可能性があります。
【検査】
検査としては、視力検査にて矯正が現状どこまでできるか、目の屈折異常を機械で測り、角膜形状解析と呼ばれる機械で形を解析します。
定期的なご来院にてどのくらい進行しているのか検査していく必要があります。その為、医師の指示による定期通院することをお勧めいたします。
【治療】
残念ですが、角膜突出の進行を止めることは難しいと言われています。
円錐角膜の治療には、薬、コンタクトレンズ、また手術によるものが挙げられます。
薬での治療では進行を抑える効果はなく、炎症を抑えたり、角膜を保護するものであり、積極的な治療ではありません。
病気の原因が不明なため、根治する方法はまだ見つかっていませんが、多くの場合ハードコンタクトレンズを装用することで視力を維持することができます。軽度の場合は、眼鏡やソフトコンタクトレンズでも良好な矯正視力が得られることもありますが、進行すると特別なデザインのハードコンタクトレンズを装用しないと視力が得られなくなります。
コンタクトレンズが装用できない、あるいは装用してもコンタクトレンズで視力が出ない状態まで進行した場合には、角膜移植手術が必要になります。国内ではアイバンクに登録し、ドナーが見つかれば角膜移植手術を受けることが出来ます。しかし、中には手術後コンタクトレンズを装用しないと視力が得られないことや、自分の体が移植した角膜を攻撃する拒絶反応で角膜が混濁する場合もあります。
近年では薬剤と紫外線を使ってコラーゲンを強化する角膜クロスリンキングやICR(角膜リング挿入術)という手術法もあります。どのような手術でも拒絶反応、感染、視力低下などの合併症がおこる可能性はあるので、結果が必ず保証されているというわけではないようです。
※円錐角膜の場合、突起した部分の角膜が薄くなってきますから、レーザー手術やレーシック手術などは受けられません。
(当院では手術は行っておりませんが、診察の上他院を紹介いたします。)
上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師にご相談ください。