811:遠近両用コンタクトの仕組み
こんにちは。新宿東口眼科医院です。本格的な夏を迎え、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回のテーマは、『遠近両用コンタクトの仕組み』です。
一般的に40歳前後から老眼が始まり、徐々に手元が見にくくなるといわれています。これは加齢によりピントの調節能力の幅が狭くなってきているためですが、その矯正方法のひとつとして遠近両用眼鏡や遠近両用コンタクトが挙げられます。遠近両用というと、遠くも近くも良く見えるオールマイティなイメージを持たれる方もいらっしゃるかも知れません。しかし、実際には遠方も近方も八割ずつ程度の見え方になります。そのため、裸眼で遠くが良く見える人は、手元用眼鏡(老眼鏡)による矯正の方が合っている場合もあります。その人の現在の視力矯正方法や生活スタイル、何が見えなくてお困りか等を考慮することが重要です。
★遠近両用コンタクトの種類
遠近両用コンタクトは通常のコンタクトと同様にハードとソフトがあり、ソフトは使い捨て(ディスポーザブル)と使い捨てでない在来型(コンベンショナル)に分かれます。主流は使い捨てのソフトレンズで、その中でも遠近両用には交代視タイプと累進多焦点(同時視)タイプの2種類があります。
交代視タイプ … 遠くを見るための度数が中心部に、近くを見るための度数が周辺部に分かれていて、視線を上下に変える事により近くや遠くを見させる設計。ハードコンタクトはほとんどがこのタイプです。
例)ホヤ マルチビューEXアルファ(周辺部に近見視が楽になる配置で、遠方もすっきり)
同時視タイプ … 同時視タイプのレンズは、1枚のレンズの中に近用と遠用の度数が入っているので、遠用部と近用部を通してクリアな情報とぼやけた情報が同時に脳に送られます。脳は、見たいクリアな像だけを無意識に認識し、それ以外のぼやけた像を抑制するので、遠くも近くも見ることが出来るように考えられています。 ソフトコンタクトレンズは全てこのタイプです。
例)アルコン デイリーズトータルワンマルチフォーカル(使い捨てタイプ初のシリコン)メニコン プレミオ遠近両用(近距離から遠距離までバランスよく見えるデザイン)
遠近両用は眼鏡でもコンタクトでもある程度の慣れが必要で、視力検査の段階では良く見えても、実際に使って見ると違和感が生じる場合もあります。また、昼と夜とでは見え方が異なる場合もあります。そのため、遠近両用コンタクトの場合なら特に、まずはトライアルからお試しでき、処方変更などに柔軟に対応してくれる眼科・販売店を選んだ方がよろしいかと思います。
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