791:網膜剥離ってどうしてなるの?
こんにちは。新宿東口眼科医院です。
立春とは名のみの寒さではございますが、皆様お変わりございませんか。
本日のテーマは「網膜剥離ってどうしてなるの?」です。
網膜剥離とは
網膜は目の奥、眼底と呼ばれる部分にあり、光を感じるための大事な細胞が集まっている膜です。光は角膜、瞳孔、硝子体を抜けて網膜に届くと、それは電気信号に変換され、視神経を通じて脳に伝わります。このように、網膜はものを見るために大変重要です。
網膜剥離とは網膜が網膜色素上皮から剥がれてしまい、見える範囲が欠けてしまう病気です。放っておくと失明する場合もあります。
網膜剥離の原因
網膜剥離は加齢や糖尿病網膜症などの病気、もしくは事故などによる眼球への物理的な衝撃が原因で引き起こされます。どちらも最初は網膜の穴(網膜円孔)や裂け目(網膜裂孔)が先に起こります。それを放置してしまうと、眼球を満たしている硝子体というゼリー状の物質がどんどん入り込み、網膜が剥がれていきます。
網膜剥離の症状
白い壁など明るいものを見た時にゴミや虫のようなものが見える「飛蚊症」、目を動かすと光が見える「光視症」、その他にも視界が全体的に暗く見える、物が歪んで見える、などが挙げられます。
検査
網膜剥離は眼の外観から診察するだけでは判断できないため、瞳孔を通して眼底を診る必要があります。瞳孔は普通の状態では小さくて中が見づらいため、散瞳剤という目薬を使い瞳孔を開きます。開いた状態は5~6時間ほど続くので、その間に眼の奥の写真を撮ったり、眼底鏡を使って観察したりします。
瞳孔が開いている際は眼に入る光の量を調節できないため、いつもより眩しく感じたり、ピントが合いにくく見えづらくなるので検査後、普通の状態に戻るまでは注意が必要です。
治療
治療法は網膜の状態によって変わります。網膜に穴が開いていたり、裂け目ができている段階であれば、レーザー治療を行います。瞳孔を通してレーザーで網膜を焼くことで組織がくっつくので、網膜は剥がれにくくなります。
既に網膜が剥離している状態であれば、剥離した部分を網膜に戻す手術が必要になります。手術は2種類あり、1つは網膜復位術といいます。網膜裂孔と相当する部分にスポンジを当て、さらに裂孔部分に熱凝固や冷凍凝固を当てて網膜を接着します。必要に応じて網膜の下にたまった水分を抜くやり方です。
もう1つは硝子体手術といいます。眼の中に器具を入れて、特殊なシリコーンや空気を使って網膜を押さえるやり方です。術後はうつぶせに寝て安静が必要です。
網膜剥離の症状には飛蚊症など、生理現象からくる危険性の低いものも含まれますが、もしそれが網膜円孔や網膜裂孔、さらには網膜剥離だった場合、放置すると失明してしまいます。早期発見が重要な病気なので、症状がある場合にはお早めに受診してください。
上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談してください。
一般の方向けですので医学用語が必ずしも厳密ではありません。
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本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。