787:角膜潰瘍とは
こんにちは新宿東口眼科医院です。
冬の寒風が身に染みる時期となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、今回のテーマは「角膜潰瘍とは」です。
角膜潰瘍とは、角膜の表面の上皮がめくれる角膜びらんとは異なり、外傷や、ウイルス・細菌により感染を起こし、角膜実質という深い層まで損傷が及んだ状態です。
角膜潰瘍が生じると、傷の治りが遅く、場合によっては傷や混濁がそのまま残存することになり、視力障害が残ることがあります。また、ばい菌の種類によっては失明することもあります。
角膜潰瘍の症状
異物感、強い痛み、充血、流涙、まぶしさ、視力低下などが起こります。また、角膜に膿(うみ)による白い点ができることがあり、ときには、角膜全体に及ぶ深い潰瘍ができることもあります。治ったあとも角膜に濁りが残って視力が出にくくなったり、ひどい場合は角膜に穴が開いて(角膜穿孔)失明に至ることもあります。角膜潰瘍は重症の状態ですので、早期の受診と治療がお勧めです。
角膜潰瘍の種類と原因
種類としては感染性のものと非感染性のものに分けられます。
原因としては、感染性では細菌、真菌、ウイルスなどがあります。フサリウム、アスペルギルスなど、いろいろな種類の真菌や、ヘルペスウイルスや水痘帯状疱疹ウイルスによる感染が原因となります。
また、目の治療にステロイド薬を使用している人、体が衰弱している人は、免疫機能が 低下するため、真菌に感染しやすくなります。
非感染性では、まぶたの縁などに存在しているブドウ球菌に対するアレルギー反応によるもの、酸・アルカリなどによる熱傷、角膜の知覚鈍麻によるもの(糖尿病など)、眼瞼内の異物などによる物理的な摩擦(逆さまつげなど)、コンタクトレンズの不適切な使用(ケア不足、長時間装用、連続装用、装着したまま寝るなど)、などがあります。ネットや雑貨店で売られている粗悪なコンタクトレンズの使用は注意しましょう。
角膜潰瘍の治療
感染性の場合は、その原因となっている微生物に対する薬剤を点眼、眼軟膏、点滴、内服、結膜下注射(白目の部分の最表面の結膜とその下の強膜の間に薬が入るように注射する)などの方法で投与します。
非感染性の場合は抗炎症薬を投与したり、角膜の上皮の治癒を促進するために、眼軟膏を入れて眼帯をしたり、治療用のソフトコンタクトレンズを入れたりします。
これらの治療により症状が改善しても角膜に強い混濁が残ってしまう事もあります。
重症の方で角膜穿孔を起こした場合や、角膜の中心に混濁が残って視力が不良の場合は、角膜移植を行うこともあります。
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●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。