779:若い人でも老眼になる?
こんにちは。池袋サンシャイン通り眼科診療所です。秋気さわやかな季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
さて、今回のテーマは「若い人でも老眼になる?」です。
物を見る際に、ピントを変える力が衰えることを老眼と言います。手元を見る時に焦点が合うのに時間がかかったり、少し手を遠ざけないと手元の文字が見えなかったりします。また、遠くから近く、近くから遠くの距離を見る時にピントが合うまでに時間がかかるようになります。年を重ねれば誰もが経験することであり、老化現象、視力障害の1つです。おもな症状としては、細かい文字、手元が見えづらい、暗い場所で見えにくい、眼の疲れ、頭痛、肩こりなどが挙げられます。
- 老眼の原因
老眼には、眼の組織の中で特に毛様体筋と水晶体という器官が大きくかかわってきます。水晶体はカメラでいうと、レンズの部分にあたり、そのレンズの厚さを調節しているのが毛様体筋です。その調節でピントが合うようになっているのですが、加齢により水晶体が硬くなってしまうと、レンズの厚さの調節ができなくなってしまい、手元にピントが合いづらいなどの症状が出てきます。
- 老眼に似た症状
老眼は加齢が最も大きな原因ですが、最近では若い方でも老眼に似た症状が出る事よくあります。パソコン、ゲーム、携帯電話などで眼を長時間酷使することにより、近くのモノが見えづらくなってしまうということがあります。例えば近視の人が、裸眼の状態でスマホなどの手元を見る時間が多くなると、毛様体筋も水晶体を動かないため、レンズの弾力が失われます。そのため、遠くを見るためにコンタクトや眼鏡を合わせると手元が見えづらくなるという現象が起こります。
また、眼鏡やコンタクトを使ったまま手元を見続けると、水晶体が厚くなったまま戻らないため、ピントの調節ができなくなります。
これらの現象を「スマホ老眼」とも言います。
- 老視の対策
老視の対策方法としては、主に以下の3つがあります。
(1) 老視用の眼鏡
合いにくくなったピントを調節します。自分なりのチェックをしてみて、ピント調節が必要だと思う人は老眼鏡をかけ、近くを見えやすくなるようにします。
(2) 老視用のコンタクトレンズ
遠くも近くも見えやすくなるという両機能を持ち合わせた、遠近両用のコンタクトレンズです。1枚のレンズに遠用度数と近用度数を組み込んだレンズを使用しています。
(3)目のストレッチ
これは若い人にある老眼に似た症状への対策にもなります。ずっとピントを動かさないことが眼にはよくないので、長時間手元を見る時は、10分に一回ほど遠くの方に眺めて、遠くの方にピントがあったら戻すという動作を行うようにしましょう。そうして水晶体や毛様体筋を動かして上げることで、血液の循環が良くなり、疲れもたまりにくくなると言われています。
ただし、老眼だと思っていても、実は違う眼の病気が原因で似た症状がでることもあります。気になることがありましたら、気軽に眼科を受診し、先生に相談してみてください。
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