775:アメーバ角膜炎について
こんにちは。新宿東口眼科医院です。
木々の色づきに秋の深まりを感じる頃となりましたが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
今回のテーマは「アメーバ角膜炎について」についてです。
○アカントアメーバ角膜炎とは
アメーバの一種であるアカントアメーバが角膜(くろめ)に感染して起こる病気です。アカンドアメーバは大きさが五十分の一ミリの単細胞生物の一種で、淡水や土壌中に広く生息している原生動物です。私たちの身のまわりに広く存在するため、普通の日常生活でもアカントアメーバと接触する機会はあります。しかし感染力が低く、普段アカントアメーバが人に害を及ぼすことはありません。多くはアメーバで汚染されたコンタクトレンズを使用することによって感染します。角膜の感染症のなかでは最も重症で、失明に至ることもあります。また、一般的に他の角膜炎との鑑別は容易でなく、初診時に単純ヘルペス角膜炎を疑うケースが多いです。
○原因
アメーバで汚染されたコンタクトレンズや、コンタクトケースを使用していることが主な原因です。アメーバが角膜の小さな傷から眼の中に入り込み感染します。
○主な自覚症状
眼の痛みが強いのが特徴で、涙もたくさん出ます。また、白眼の充血も非常に強くなります。初期の視力低下は軽度ですが、徐々に見えにくくなり、進行すると重度の視力障害になります。目やには軽度で、通常 片眼のみに起こる片眼性に疾患です。ほとんどの場合、片方の目だけに起こります。
○検査方法
角膜の悪くなっている部分をこすり取って、アカントアメーバを検出します。特殊な病原体で、めずらしい病気であるため、大きな総合病院でも検査が困難なことが多いと言われています。 (当院では行っておりません)
○主な治療方法
アメーバに対する特効薬がないため、抗真菌薬を使用しますが、それに加えて感染した角膜表面を何度も削る治療を併用する必要があります。根治には何カ月もかかることがまれではありません。どうしても治らない場合は、角膜移植を余儀なくされる場合もあります。
○予防
この病気は予防することが大切といえます。
・コンタクトレンズの使用期間を守る。
・決められたケア方法を守る。
・汚れたレンズケースは早めに取り替える。
・異常を感じたら早めの眼科受診
・定期検査を受ける。
・眼鏡とコンタクトレンズを併用する。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
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●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。