753:目をぶつけたらどうする?
こんにちは。新宿東口眼科医院です。
心地よい五月晴れの折から、お元気にお過ごしのことと存じます。
今回のテーマは「目をぶつけたらどうする?」です。
普段気を付けていても意図せず野球ボールやサッカーボールが眼に当たったり、自分や子供の手や足が当たってしまったり、殴られたりして眼に強い衝撃が加わることがあります。
目をぶつけたときにはガーゼ、ハンカチなどを冷水で濡らし、まぶたの上から打撲したところを冷やしましょう。まぶた・眼球からの出血があるときは、目をこすらないようにしてください。順調に回復するためには、打撲直後からの安静が大切です。そして直ちに、眼科医の診察を受けて下さい。
目をぶつけた際以下のような症状がでてくる恐れがあります。
・充血する
・痛みが出る
・出血する
・目がかすんで見える
・物が二重に見える
・視野が欠けている
直接眼球ではなく、目の周りの打撲のように感覚しかないような場合もありますが、様々な疾患が隠れている場合があります。症状が軽くとも
眼球内のトラブルが起こっている可能性もあります。この場合は早急に処置が必要となるため、痛みは小さくとも安心はせず、直ちに検査を受けるようにしましょう。
目をぶつけることによって起こりうる疾患
角膜外傷
角膜は体表面でもっとも知覚が過敏な組織なので非常に痛みを伴い、涙が多く出て目が開けられなくなることもあります。症状は強いものの、適切な治療をすることで数日でほぼ症状は軽快することが多い疾患です。
前房出血
前房(角膜と虹彩の間)を循環している房水中に血液が溜まっている状態で、視力が低下します。
水晶体脱臼
水晶体脱臼とは、水晶体が本来あるべき位置からはずれて、脱臼した状態をいいます。 また、水晶体が完全には脱臼しておらず、ずれているものを水晶体亜脱臼といいます。
外傷性虹彩炎
「虹彩」はぶどう膜の 1 つで、瞳孔の大きさを調節する器官で、カメラの絞りに相当するものです。物が
当たったために虹彩に軽度の炎症が起こったものをいいます。
まず2~3日は安静を必要とし、視力低下が軽度で強い出血を伴っていなければ2週間ほどで完全に消失しますが、重症の場合は失明の危険もあります。
眼窩底骨折
目に対して直接ボールがあたるなどの外力が加わると起こる骨折です。 目を支えている骨や眼球が奧へ偏位し、複視(物が二重に見える事)の症状が出たりします。 複視の症状がひどくなければ(眼球運動障害が少なければ)様子をみます
網膜震盪症
打撲などが加わった結果、網膜に起こった浮腫(腫れ)です。1週間位で回復します。
外傷性緑内障
出血やはれが吸収され,外見上全く異常が認められない場合でも,房水の出口に障害を起こし,前房水の循環障害によって眼圧が高くなってくることをいいます。これを放置しておくと,視力障害や視野欠損を起こし,やがて失明する可能性があります。
検査について
眼球打撲の症状で受診した場合には、瞳孔を開いた上で眼底を詳しく調べる必要があります。眼底検査の際には目薬(散瞳薬)を差すことで、15分から30分くらいで瞳が大きくなります。散瞳することによって、眼底の隅々まで検査することが出来、目の状態を詳しく調べることが出来ます。
当院では散瞳後に検眼鏡や眼底カメラ、またOCT(光干渉断層計)という検査機器を使い眼底疾患の有無を調べます。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
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●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。