698:視力の良い人は老眼になりやすい?
こんにちは、新宿東口眼科医院です。
すがすがしい若葉の季節を迎え、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回のテーマは「視力の良い人は老眼になりやすい?」です。
〇老眼の症状
まず初めに老眼とは、加齢とともに起こる目の現象で、誰にでもいつかは必ず訪れます。
自覚症状としては、近くの文字がみえづらい、薄暗い場所で文字が見えにくくなる、手元にピントが合いにくくなりものを遠ざけてしまう、などがあります。
〇目の見える仕組みについて
私たちは、光を目で感知し、その情報を脳に送ることで、ものを見ることができます。
眼球の水晶体という、カメラでいうとレンズの役割をもったものの厚みを目の奥の毛様体筋で調節し網膜に像を投影するという仕組みで、私たちは周りのものを見ています。
近くのものを見るときは、水晶体を厚くし、目に入ってきた光を大きく屈折させて、網膜上にきちんピントが合うように調整します。若いときは水晶体が柔軟なので、簡単に厚みを変えられます。
しかし、年齢を重ねると、水晶体は弾力を失って硬くなります。その結果、手元を見ても水晶体が厚ならず、光を適正に屈折させることができなくなるので、網膜の上でピントが合わなくなります。
網膜にピントが合わなくなると、ものがぼやけて見えます。
つまり、老眼とは加齢とともに水晶体の調節力が衰え、近くのものが見えづらくなる状態といえます。
一般的には40歳を過ぎたころから老眼の症状を感じるようになるといわれています。
〇近視・遠視・正視の仕組み
正視とは、外から目に入った光がピッタリ網膜で焦点が合っている状態です。
いわゆる目が良い人の状態で、屈折異常がない目とされます。
近視とは、外から目に入った光が網膜より手前でピントが合ってしまい、近くのものは見えますが遠くのものが見えにくくなります。
遠視とは、外から入ってきた光が網膜より後方で像を結ぶ目の事です。
常に調節が必要なため疲れやすく、特に近くを見るときは強い調節が必要となります。
〇まとめ
「視力の良い人は老眼になりやすい」「近視の人は老眼にならない」といわれていますが、それは正しくありません。老眼は誰にでも起こる目の現象です。ただ、近視や遠視の有無や、その矯正方法によって、老眼を自覚する時期や見えづらさの程度に個人差が出てきます。
近視の場合は近くに焦点が合っているので、メガネやコンタクトレンズを外せば手元が見えるので老眼を自覚しづらいといえますし、正視や遠視の場合は近くを見るときに調節のために大きな負担がかかるので、老眼を自覚しやすいといえます。
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※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。