653:眼内レンズとは
こんにちは。新宿東口眼科医院です。
吹く風も次第に夏めいてまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回のテーマは「眼内レンズとは」です。
〇眼内レンズとは
白内障手術(白内障・手術については詳しくはこちら:
https://www.shec.jp/cataract/?_ga=2.118913934.629851376.1621224547-116446625.1610942715)では、目におけるレンズの役目を果たしている水晶体を取り除いてしまうため、そのままではピンボケの状態になり、メガネをかけないと物がはっきり見えなくなってしまいます。そのため、手術で水晶体を取り除いた後は目の中に人工のレンズを挿入します。これが「眼内レンズ」です。
〇眼内レンズの種類
眼内レンズには大きく分けて「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」があります。患者様の求めるライフスタイルとそれぞれの眼内レンズの特性をふまえて、眼内レンズの種類を決定します。
これまでの白内障手術で使用されていた眼内レンズは「単焦点眼内レンズ」といい、一つの距離にピントを合わせるレンズです。
眼内レンズは若い人の水晶体のように厚くなったり薄くなったりしてピントを調節する力がありません。老眼が進んだ状態と同じで「ピントのあう幅が狭い」ため、どの距離もハッキリみえるというわけではなく、「ピントのあわない距離をみる場合は眼鏡を使う」必要があります。
対して「多焦点眼内レンズ」では複数の距離にピントが合うようになっています。眼鏡のかけはずしがほぼ不要になる一方で、複数の個所に光が分散するため、単焦点レンズに比べて見え方のシャープさ・質がやや劣ります。また、暗いところで光を見ると、光の輪(ハロー)やぎらつき(グレア)を感じることもあり、見え方に慣れるまでには時間がかかるとされています。
また、多焦点眼内レンズを使用する白内障手術受ける場合は、選定療養費として通常の診療費とは別の費用がかかります。
〇選定療養とは
本来保険適用外になる治療を、社会保険に加入している患者様が追加の費用(選定療養費)を支払うことで、保険診療と組み合わせて受けることが出来るという医療サービスです。
これまで多焦点眼内レンズを使用した白内障手術は保険がきかない自費診療でした。
一部の例外を混合診療(保険診療と自費診療の併用)は認められていないため、自費診療である多焦点眼内レンズを選択すると、保険診療の対象である手術自体の費用も含めて全額患者様の自費負担(先進医療特約保険に入られていた方を除く)となっていました。
しかし、2020年4月より、多焦点眼内レンズを使用する白内障手術が選定療養の対象となりました。これにより患者様は多焦点眼内レンズに係る費用のみを追加の費用として自費で負担・手術自体の費用は保険適応で負担することになり、従来全額自己負担であった費用を軽減した形で手術を受けることが出来るようになりました。
当院は多焦点眼内レンズの白内障手術を行う医療機関として届け出をしております。また、対象となる患者様には、診察時に詳細なご説明をさせていただきます。
上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談してください。
- 一般の方向けですので医学用語が必ずしも厳密ではありません。
- 無断での記事転載はご遠慮ください。
- 本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。