642:翼状片とは
こんにちは、新宿東口眼科医院です。
今回のメールマガジンのテーマは「翼状片とは」です。
翼状片とは
翼状片とは、白目の表面を覆っている半透明の結膜が、黒目の部分に当たる角膜にかかる形で広がる病気です。
結膜(白目の部分)の下にある線維芽細胞が必要以上に増えて、角膜に入り込んでくることで生じます。
黒目の部分が充血したようにみえますが、それは本来血管のない角膜(黒目)に血管が豊富な結膜が侵入してくることが原因です。
結膜は通常鼻側から角膜に侵入します。翼状片が中央へ侵入するにつれ、その方向に角膜が引っ張られ、その結果角膜の乱視が生じます。
翼状片が黒目の中央にまで進行した場合、視力は著しく低下します。
翼状片の主な原因
詳しい原因は不明ですが、紫外線による眼球損傷が誘因となり引き起こされると考えられています。
翼状片は、眼球に対しての障害が蓄積することによって発症します。その為、幼児期に発症することは少なく、高齢者にみることが多いのが特徴です。屋外での仕事に従事する方に発症するケースが多いとも言われています。
似たような見た目を呈する症状として、「瞼裂斑」と呼ばれるものがあります。
瞼裂斑は、目にできたシミのようなものであり、白目に当たる結膜にタンパク質や脂肪、カルシウムなどが沈着して黄色く変色した状態を指します。
瞼裂斑は鼻に近い結膜に生じることが多いですが、翼状片とは異なり角膜を覆うような形で広がることはありません。
翼状片の主な症状
翼状片の症状は軽度のものから重度のものまで様々です。徐々に角膜に結膜が伸びて侵入してくるので、鏡をみると分かります。
翼状片が拡大している状況では、結膜の充血や異物感を自覚することがあります。異物感としては、目の乾きやかゆみ、焼けるような痛みがする、埃が入っているような感じがするなど様々です。
角膜の部分に広く結膜が侵入すると、眼球内への光の透過性が阻害されることになります。痛みもなく、他に症状はありませんが、放置して大きくなり角膜中央にかかってくると、角膜の形態も歪むことになるため、視力低下や乱視などの症状を呈するようにもなります。
また翼状片により眼球運動が障害を受け、ものが二重に見える複視症状を呈することがあります。
翼状片の主な治療法
翼状片自体は悪性の組織ではなく、症状がなければ放置しても問題はありません。
しかし、充血や異物感などの症状を引き起こしたり、乱視や視力低下、複視などの視覚に対しての悪影響を及ぼすこともあります。
こうした症状に対応するために、点眼薬や手術で治療を行う場合もあります。根本的な治療方法は手術になります。
手術療法は、通常日帰りで行うことが可能です。手術を行う場合、局所麻酔を用いて、異常組織に当たる翼状片を摘出します。
但し、摘出するのみでは再発することも多く、結膜弁移植や自己結膜移植といった再発予防策を同時に行うことも重要です。
特に若い方(50歳未満)では、こうした予防策を講じても再発するリスクが高いため留意が必要です。
その他の再発予防策として、手術中にマイトマイシンCと呼ばれる薬剤を使用することがあります。
マイトマイシンCは抗がん剤の一種であり、翼状片の原因となる異常細胞増殖を抑制するために使用されます。
上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師にご相談ください。