638:マイボーム腺梗塞ってなに?
こんにちは。新宿東口眼科医院です。
今回のテーマは、「マイボーム腺梗塞ってなに?」です。
目がゴロゴロするとき、疲れ目やドライアイを考える人は多いと思います。しかし、それはひょっとしたら眼のふちに詰まり物ができてしまった、マイボーム腺梗塞かもしれません。
眼のふちが詰まる―マイボーム腺梗塞とは?
マイボーム腺梗塞とは、まぶたの内側、まつ毛の生え際に並ぶマイボーム腺に、固まってしまった白色の油分が詰まってしまう症状です。
目は乾燥を防ぐため、涙腺から常に涙が分泌されます。しかし涙だけでは、すぐに目が乾いてしまうため、マイボーム腺から油脂成分が分泌され、涙の蒸発を防いでくれるのです。
鏡を使って手でまぶたを優しく開いてみると、まぶたの内側のふちに穴が点々と並んでいるのがわずかにわかります。通常は毛穴のように開いているのですが、油分が固まってしまうと、まるで白っぽいニキビのように少し腫れてしまいます。
分泌不良で起こる―マイボーム腺梗塞の原因
マイボーム腺に固まった油分が詰まってしまう原因は様々ですが、基本的には、分泌された油分を押し出す力が弱くなり、詰まってしまいます。
・マイボーム腺の機能低下
・動物性脂肪分の取り過ぎにより、粘度の高い油分が分泌されてしまう
・化粧品やごみなどがマイボーム腺をふさいでしまう
特に、コンタクトを使用する方や、アイメイクで目に触れる機会が多い方などは、気づかぬうちに汚れがマイボーム腺をふさいでしまうことがあります。機能低下の一種でもありますので、コレステロールの高い食生活や乱れた生活習慣を送っている方も注意しましょう。
放っておくと手術が必要―マイボーム腺梗塞の治療
マイボーム腺梗塞は軽度であれば自覚症状もありません。詰まりが大きくなっていくにつれ、目がゴロゴロするといった異物感が現れます。
普段ドライアイや疲れ目を多く経験する方には、そのせいだろうと目薬のみで対処してしまう事も少なくありません。しかし、場合によっては、固まった油分を摘出する手術をしなくてはならない場合もございます。直ちに失明の恐れがあるわけではありませんが、大きくなった固形物が稀に角膜を傷つけることもあります。疑いがみられる場合はすぐに治療しましょう。
軽度の場合は、抗菌剤の目薬を点眼します。症状に合わせ、軟膏の塗布、内服薬、麻酔後ピンセットで押し出すなどで治療します。自分で行えるものもありますが、詰まりが取れる感覚はすぐに表れないことや、目を傷つける恐れがありますので、医師による治療をお勧めします。
目をケアすることで防ぐ―マイボーム腺梗塞の予防
食生活の改善や目のケアを行うことで、マイボーム腺梗塞はある程度予防できます。
油分の多い食事はなるべく控えましょう。コンタクトやアイメイクを行う方も注意が必要です。また、温かいおしぼりを目に数分間当てることで、油分が溶け出し、軽微な詰まりも解消されます。特に、一日の終わりに横になって温かいおしぼりを目に当てることは、目の疲れを癒すことにもつながりますのでお勧めです。
おわりに
ドライアイの方などはよく経験するマイボーム腺梗塞ですが、気づいた時点で治療することにより、ほとんどの場合、他の病気に発展することを防ぐことができます。眼のふちが少し腫れている、目がゴロゴロすると思った際は、医師の診断を受けましょう。
- 上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談してください。
●一般の方向けですので医学用語が必ずしも厳密ではありません。
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●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。