537:瞼がピクピクしたら眼科?
こんにちは。新宿東口眼科医院です。
6月も中旬となり着々と夏に近付いていますが、皆様いかがお過ごしですか。
今週のテーマは「瞼がピクピクしたら眼科?」というテーマについてお話したいと思います。
眼瞼けいれんという病気をご存じでしょうか?
一般に「ときどき片方のまぶたがぴくぴくする病気」と思われているようですが、実は違います。ちなみに「ときどき片方のまぶたがぴくぴくする」のは眼瞼ミオキミアという状態で、眼瞼けいれんではありません。眼瞼ミオキミアは眼輪筋という筋肉の攣縮が不随意に起こる状態で、通常片眼性であり、肉体的精神的ストレスが原因になると言われています。有効な治療法はなく、上記ストレスを緩和する(ゆっくり休む)ことで改善する場合が多いです。
★眼瞼けいれんとは?
自分の意志に関係なく、両目の周りの筋肉がけいれんする病気です。
目の周りがピクピク動いたり、目を開いているのが難しくなるなどの症状のほか、まぶしさを感じたり、目が乾くといった問題にも悩まされます。
程度がひどいと目を開けていられなくなってしまうので、日常生活に支障が出てきてしまうこともあります。
中高年(40~70歳代)に多く、性別でみると、患者さんの約7割が女性です。
★原因は?
「大脳の一部が機能障害を起こしている」という説や、「眼瞼炎、結膜炎などのまぶたや角膜の病気が刺激を与えたことによって発症した」「別の病気の治療薬が原因になった」というケースが報告されていますが、完全には解明されていません。
★よくドライアイと間違えられる
眼瞼けいれんの重症例では、開瞼不能であり、上下の眼瞼を硬く閉じ、まぶたの周囲や眉間にしわを寄せる特有な顔貌をしています。
多いのは軽症、中等症例で、表にみられるさまざまな自覚症状があり、それが常時気になって集中できない、などの不快な症状が強く、頑固に続きます。
また目が乾くと訴える例も多く、その他の訴えも眼表面障害のものに類似しているため、しばしばドライアイと診断され、治療されています。ほかには眼精疲労、自律神経失調症、更年期障害、神経症などと診断されたり、診断もつかぬまま引きこもっている例もかなりあると推定されます。
通常のドライアイ患者ではみられない日常生活上の特徴は、自身の移動に関することを考えてみると分かります。歩行中に人や物にぶつかったりぶつかりそうになる経験をしたり、車や自転車で走行中の事故も少なくなく、運転を諦めている人も多くいます
★治療法は?
○ボツリヌス療法(ボトックス注射)
ボツリヌス菌が作り出す薬をけいれんしている筋肉に注射し、症状を改善します。一度の注射で2~3カ月ほど効果が持続しますが、再び症状に悩まされる場合は、改めて注射を行います。
ボトックス
○薬物治療
抗コリン製剤、抗うつ薬などの内服薬による治療と、人工涙液の点眼があります
○手術
難治症例では、まぶたの筋肉や皮膚を短くする手術などがあります。
(※当院では行っておりませんので、医師の判断で紹介状をお出しする場合があります。)
●上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
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●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。