483:性病と眼科疾患の関係性
こんにちは。新宿東口眼科医院です。
もうすぐゴールデンウィーク、今年の予定はお決まりですか?
今回のテーマは「性病と眼科疾患の関係性」です。
目に関する疾患は眼そのものに起因するものが殆どと思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、実はその原因は様々です。ある日風邪を引いてしまった時に、いつもより目やにが多く出たり、またなんとなく充血したりと眼にも症状が表れたことはありませんか?このように、多岐にわたって他の器官の問題と大きく関わっていることもあります。
今回はその一例として、「性病と眼科疾患の関係性」についてご説明致します。
性病との関係性が高い眼科疾患のひとつとして、まずクラミジアによるものがあります。
名前だけでも聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。
クラミジアはクラミジア・トラコマティスという細菌によるウイルス性の性疾患です。
このウイルスに感染している方が自身の粘膜に触れ、さらにその粘液が手に付着した状態で目に触れることによってクラミジア結膜炎を引き起こします。
クラミジア結膜炎は、日本を含めた先進国に発症患者が多い「封入体結膜炎」と、
発展途上国に発症患者が多い「トラコーマ」の2種類がありますが、日本国内で主な「封入体結膜炎」は前述のようにクラミジアに感染している性器に触れた手で目を擦るなど、主に性行為によって感染します。
主な症状として、充血、膿性の目やに、まぶたの腫れ(眼瞼腫脹)などが起こります。
眼瞼結膜には、大きめのぶつぶつ(濾胞)ができます。眼の症状のほか、耳の前のリンパ節がはれ、痛みを伴います。
続いて、AIDS(後天性免疫不全症候群)に罹患している方に起こり得る眼疾患として、ウイルス性ぶどう膜炎があります。様々な細菌が、免疫力が低下した方を脅かすために起こる病気です。ぶどう膜炎が生じると、目の中の透明な前房と硝子体に炎症性細胞が浸潤するため、かすみがかかったように見えること(霧視)や虫が飛んでいるように見えること(飛蚊症)、まぶしく感じること(羞明感)、その他、視力低下、眼痛、充血などの症状がみられます。片眼だけの場合もありますし、両眼に起こる場合もあります。
また、性病ではありませんが、外陰部をはじめ全身に炎症・潰瘍を伴うベーチェット病では虹彩毛様体炎が起こり、眼痛、充血、羞明、瞳孔不整がみられます。網膜絡膜炎を起こすと発作的に視力が低下し、障害が蓄積され、ついには失明に至ることもあります。この病気は現在原因不明とされていますが、眼症状はじめ、その他の症状においてもそれぞれに適した治療方法が確立されており改善が図られています。
これらの疾患、及び他の眼症状を引き起こす性病についてより詳しく知りたい方は
・日本眼科学会 目の病気(公益財団法人日本眼科学会運営)
もしくは、ベーチェット病のように難病指定されているものに関しましては
・難病情報センター(公益財団法人難病医学研究財団運営)をご覧ください。
<上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。>
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
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●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。