449:酸素不足はどうして目に悪い?
こんにちは、新宿東口眼科医院です。細菌暑い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回のテーマは「目の酸素不足はどうしてよくない?」です。
目の酸素不足が問題視されるようになった背景にはコンタクトレンズの普及が挙げられます。
今から30年前くらいにコンタクトレンズができてから、眼鏡をかけなくても視力矯正が可能ということで、急激に世界中に普及しました。
しかし、使用者が増えるにつれてだんだんと問題点も出てきました。
● コンタクトレンズを使用するとどうして角膜の酸素不足が起きるか
人間の角膜には血管がないため、血液によって酸素や栄養分が運ばれません。そのため、角膜は涙液を介して空気中の酸素を取り入れて、代謝エネルギーに変えています。
通常、瞬きをする度に涙が交換されますが、コンタクトレンズは角膜の上につけるので、その酸素を取り入れるメカニズムの邪魔をしてしまいます。
酸素不足の状態が続くと、角膜内の内皮細胞(再生しない細胞)が減少したり、本来血管のない角膜に、酸素を取り込もうとして血管が入りこんだりするようになります。また、目に傷もつきやすく感染症のリスクも高まります。
コンタクトレンズの決められた装用時間・使用期間を越えて使用したり、コンタクトレンズを着けたまま寝てしまったりすると、目が酸素不足に陥り、眼障害等のトラブルにつながります。
目を閉じているときは、目を開いているときに比べ酸素供給量が3分の1に減少します。コンタクトレンズにより角膜の表面が覆われると、涙液中の酸素が不足し、角膜は酸素不足に陥ります。
したがって、角膜より大きいソフトコンタクトレンズをしている方が、角膜より小さいハードレンズをしているよりも、角膜はより酸素不足の状態に陥っているということになります。
ハードレンズでは1回のまばたきでレンズと角膜の間の涙液は約15~20%が交換され、ソフトコンタクトレンズでは約1%です。
● 対策
近年は酸素透過性の高い「シリコーンハイドルゲル素材」のコンタクトレンズが発売されています。ほぼ裸眼とかわらない状態で眼が酸素不足になる危険性は極めて低くなります。
目の健康を守るために、コンタクトレンズ選びは、装用時間や目の状態に応じて、眼科でよく相談して眼に適したレンズを選ぶようにしましょう。
当院には、角膜内皮細胞の検査をするスペキュラーマイクロスコープを置いています。簡単な検査ですので、是非受けて頂くことをお勧めします。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。