440:ステロイドの目薬ってどういうもの?
こんにちは、新宿東口眼科医院です。
梅雨明けを待たれる頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回のテーマは「ステロイドの目薬ってどういうもの?」です。
ステロイドとは
ステロイドというのは、副腎皮質ホルモンと呼ばれているもので、私たちの体の中でも日々作られています。副腎という臓器の皮質で作られたホルモンの、糖質コルチコイドを合成したものがステロイド剤と呼ばれます。
ステロイドの効果
ステロイドには炎症を鎮める効果や免疫抑制作用、アレルギーを抑えるといった効果があり、眼科でも万能薬として使われています。結膜炎、強膜炎、ぶどう膜炎などにはこの薬が使われることが多いです。
アレルギーには始めは非ステロイドの薬を使うこともあるかもしれませんが、かゆみを取り除く速攻性のあるものといえば、やはりステロイドに勝るものはありません。
ステロイドの副作用
眼科で最も気にしなければならないものが、眼圧の上昇作用です。ステロイドにも弱いもの、強いものと種類がありますが、強いステロイドほど眼圧も上昇しやすくなります。
ただし、眼圧の上昇は生まれつきの体質も大きく関わり、弱いステロイドでも眼圧の上がってしまう人はいます。眼圧が上がっているのに気づかず、長期間使用するとステロイド緑内障になるリスクが高まります。
そのため、定期的に眼圧を確認する必要があります。
その他の重大な副作用として水晶体白濁があげられます。ステロイド白内障と言われ、長期間大量にステロイド剤を使用していると、なることがあります。
その理由について詳しいことはまだわかっていませんが、目の周りの組織は薄くステロイドが吸収されやすいため、という説があります。
また、免疫抑制作用がありますので、ウィルスや菌などが原因の病気にかかりやすくなったり、治りにくくなったりします。
ステロイドの副作用も個人差がありますので、すべての人に必ず現れるわけではありません。ただし、大丈夫だからと長期間連用するのは避けるべきです。医師と相談しながら使用してください。
ステロイドの種類
ステロイドの薬にもいくつか種類がありますので、代表的なものをご紹介します。
プレドニゾロン |
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合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)で、抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫抑制作用のほか、広範囲にわたる代謝作用があります。通常、内科・小児科、外科など各科のさまざまな病気の治療に用いられます。ただし、病気の原因そのものを治す薬ではありません。 |
・点眼薬
合成副腎皮質ホルモン(ステロイド)製剤で、抗炎症作用や抗アレルギー作用をもち、目のいろいろな炎症を抑えます。通常、眼瞼炎、結膜炎、角膜炎などの目の炎症の治療に用います。 |
合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)で、炎症による目、耳、鼻のかゆみ、赤み、はれなどの症状を改善します。通常、眼科領域では眼瞼炎、結膜炎などの炎症性疾患、耳鼻科領域では外耳炎、中耳炎、アレルギー性鼻炎などの炎症性・アレルギー性疾患の治療に用いられます。 |
ステロイドは、必要以上に恐れたり、いい加減に使わなければ、とても有用な薬です。
使用するときは、医師の指示を必ず守るようにしてください。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
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●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※ すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。