431:目が悪いのは遺伝する?
こんにちは、新宿東口眼科医院です。暖かくなり過ごしやすい季節になってきましたね。皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回のテーマは「目が悪いのは遺伝する?」です。
親と子は、全身のさまざまな特徴がよく似るので、家族に視力が悪い人がいると、
子供にもそれが遺伝するのかと不安だと思います。
子供の頃から目が悪い原因には、様々なものが考えられます。
・屈折異常によるもの
子どもの頃の視力低下というと近視、遠視、乱視などの屈折異常が関係しています。屈折異常になる原因は、環境要因、遺伝要因とわけることができます。
例えば、近くのものを見るとき、目の筋肉が緊張した状態になり水晶体が厚くなります。ずっと近くを見続けていると、この緊張状態が続き目の筋肉が元のように伸びなくなって、筋肉が凝り固まって近視になってしまいます。
学力が高い子、読書をする子、パソコンをする子など、近くの作業が多い子はしない子に比べて近視になる確率が高いというデータもあります。
ここ最近ではスマートホンの普及により長時間近くをみることが増え、それによる近視が増加しています。これらは環境要因による屈折異常(近視)です。
それ以外では、遺伝によって屈折異常が現れるという説もあります。多くは常染色体優先遺伝の形式をとると言われていますが、必ず屈折異常が現れるわけではありません。
近視、遠視、乱視などの屈折異常の原因は、はっきりと原因がわかっているわけではありません。遺伝要因、環境要因が密接に関わっているというところに留まります。
・何らかの病気によるもの
① 先天白内障
生まれつきに水晶体に濁りがあり、出生直後や乳幼児期、学童期、思春期などに発症する白内障です。多くは遺伝で発症すると言われています。そのため、先天白内障の場合、本人以外にも家族に同じ様な人がいないか検査することになります。
それ以外では、母親が妊娠中に風疹にかかった場合などになると言われています。
※6~7歳までに先天白内障などの病気が原因で視機能の発達が妨げられると、視力が出ないことがあります。これを弱視といいます。弱視の中にも医学的弱視、社会的弱視と分けることができ、先天白内障などが原因での弱視は社会的弱視と言われ、回復困難なものになります。これは遺伝が関わる場合があります。
遠視、斜視、屈折異常などが原因の回復する見込みのある弱視は医学的弱視といい、遺伝との因果関係ははっきりとはわかっていません。
② 緑内障
視野、眼底に特定の変化が認められる緑内障も遺伝が関係している場合があります。
一般的な緑内障は散発的に起こることもあり、遺伝と言い切ることはできません。
しかし、マルファン症候群、先天無虹彩などの先天異常と合併して起こる続発緑内障は、遺伝の形式をとると言われています。
③ 網膜色素変性
視野が周辺から輪状に欠けていき、視力低下、夜盲を自覚する病気が網膜色素変性です。進行すると失明する場合もあります。
この網膜色素変性も様々な遺伝形式をとります。ただし、近親者に同じ病気の人がいないのに、発症することもあります。この場合は劣性遺伝で発症すると考えられています。
目が悪いのは遺伝が関係している病気のものと、近視などのはっきりとした因果関係はわかっていないものがあります。
親が目が悪いからと言って必ずしも目が悪くなるわけでありません。
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