401:学校近視とは?
こんにちは。新宿東口眼科医院です。今回のテーマは「学校近視とは」です。
学校近視とは6~15歳の学校に通う年齢の子どもが急に近視の状態になってしまう現象です。成長とともに眼球が大きくなる事によっておこり、小学校高学年から増え始めて中・高校生と多くなってきます。例えば、去年までは視力が良かったが、ここ1年で大きく視力が下がってしまった…などが起こりえます。
眼科では、近視がどの程度の強さか正確に調べ、メガネをかける時期や必要性を判断します。
■学校近視のメカニズム
人間の眼の中には毛様体というピントを合わせるための筋肉があります。近くを見るときはちぢんで(緊張して)、遠くを見るときはゆるみます。近くの作業を多くすると、この筋肉が過度に緊張して、遠くを見ようとしてもゆるまなくなります。この状態が調節緊張、学校近視という状態です。これは成長する子どもの目の生理的変化によるもので、病的な要因によるものではありませんが、遺伝や近業(目の近くで行う作業)の多い環境の影響があるといわれています。
≪単純近視≫
近視の度数が比較的軽く、メガネによる 矯正で良好な視力がでます。
学校近視の大部分を占めます。
※原因…近見作業などの環境要素や遺伝要素が複雑に影響していると考えられる。
≪病的近視≫
幼児期から近視が始まることが一般的で、眼底に異常があり、近視の度数も強く、眼軸の長さも長く、メガネによる矯正で良い視力がでません。
※病的近視は非常にまれで、お子さんの近視のほとんどは単純近視ですので心配はありません。
■お子様の視力低下発見生活チェック
□よく目を細めている
□テレビ・パソコンに近づいて見ている
□目つきが悪くなった
□よく「目が痛い、目が疲れた」と言う
□見えにくい様子がある
□学習などに根気がなくあきっぽい
□よく転んだり、つまづいたりする
□ 集中力がない、落ち着きがない
□ 視力が0.9以下
□ 学校健診で以前より視力低下が進んだ
■眼科での検査方法
①裸眼(メガネなし)の視力を測定
②機械による他覚的な屈折力(近視や遠視、乱視の度数)を測定
③自覚的な矯正視力(近視や遠視・乱視のメガネをかけて見やすくなるか)の測定
④仮性近視や調節緊張による近視や遠視なのかを検査するために【雲霧法】や【目薬による検査】【両眼視簡易検査器(ワック)】を必要に応じておこないます。
【雲霧法】
わざとピントが合わないようにしたメガネを20分位かけて、調節ができない状態から検査をしていく方法です。仮性近視や調節緊張の判断をする目安になります。
【目薬を使った検査】
調節を麻痺させる目薬を点眼し、完全に調節力をなくした状態で近視や遠視・乱視の度数を調べる検査です。
【両眼視簡易検査器(ワック)】
美しいカラー立体風景を5分間見るだけで、遠くの景色を長時間見つめるのと同じ効果が得られます。
■仮性近視の治療法
【点眼治療】
筋肉の緊張をほぐす点眼を就寝前に行います。
点眼後30分から1時間で毛様体筋の緊張は完全に取れ、その状態が5~6時間続きます。
この点眼をすると、瞳も広がり見づらくなりますが、翌朝には元に戻ります。
毎日繰り返すことで、緊張しっぱなしにならない毛様体筋をつくります。
※ただし近視の進んだ方や成人には効果はあまり期待できません。
■仮性近視の予防
①ゲームの時間を1日30分以内にする。
②テレビは3メートル以上離れて見る様にする。
③勉強の時など本を読むときには30センチ離して読むようにする。
上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。