372:糖尿病と眼科の関係
こんにちは。新宿東口眼科医院です。
厳しい寒さが続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
今週のテーマは「眼科と糖尿病の関係」についてです。
【糖尿病ってどんな病気?】
一般的には加齢・遺伝・肥満・運動不足が四大原因とされている病気です。
体内の血液中のブドウ糖濃度(血糖値)は、様々なホルモンの働きによって常に一定範囲内に調節されています。しかし、さまざまな理由によってこの調節機構が破綻すると血液中の糖分が異常に増加し、異常代謝の状態となります。この状態が糖尿病です。この病気の恐ろしいところは眼や腎臓を含む体中の様々な臓器に重大な障害を及す可能性があることです。糖尿病治療の主な目的はそれらの合併症を防ぐことにあるのです。
【糖尿病の合併症にはどんなものがある?】
代表的な3大合併症として、神経症、腎症、そして網膜症があげられます。
他にもその他にも心筋梗塞、脳梗塞、狭心症等があります。
【糖尿病性網膜症とは?】
糖尿病網膜症は上で上げた3大合併症のひとつで、我が国では成人の失明原因の第一位となっています。網膜は眼底にある薄い神経の膜で、ものを見るためのスクリーンのような役割をしています。血糖が高い状態が長く続くと、網膜にある神経細胞や細い血管は少しずつ損傷を受け、変形したりつまったりします。すると、網膜に酸素が行き渡らなくなるため眼底出血や硝子体出血などの症状を起こします。これが「網膜症」と呼ばれるものです。
糖尿病性網膜症は、網膜の状態などから進行の段階が3つに分けられます。
目の症状 自覚症状
単純網膜症(第1段階) 網膜の毛細血管がもろくなる点状出血・斑状出血、毛細血管瘤
前増殖網膜症(第2段階) 軟性白斑血管が詰まって酸素不足になった部分がみられる かすみ
増殖網膜症(第3段階) 硝子体に新生血管が出る硝子体出血、網膜はく離失明 極端な視力低下黒いものがちらつくものがぶれてみえる。
【どんな検査をするの?】
糖尿病網膜症は、糖尿病になってから数年から10年以上経過して発症するといわれていますが、かなり進行するまで自覚症状がない場合もあります。「まだ見えるから大丈夫」と思っていても、病状が知らない間に進行していることもありますので、糖尿病の人は目に自覚症状がなくても定期的に眼科を受診すると安心です。
視野検査(見えている範囲、欠落の有無を調べます)
眼底検査(目薬で一時的に瞳孔を大きく開いて眼底を調べます)
アムスラーチャート(図を用いて、歪みや視野欠損を大まかに検出します。)
OCT(近赤外線で網膜の断面を観察します)
網膜剥離や網膜裂孔を起こしている場合は、網膜光凝固術(レーザー手術)、網膜復位術、硝子体手術 など進行状態によって網膜にあいた穴をふさいだり、元に戻したりする手術が必要になります。
●上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談してください。
●一般の方向けですので医学用語が必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先させてください。