359:生理的盲点
こんにちは、新宿東口眼科医院です。
今回のメルマガのテーマは「生理的盲点」についてです。
まず、「盲点」とはなんでしょうか?
ひとつ簡単な実験をして見ましょう。
まずは左目を隠して、右目で赤い丸を見てください。
赤い丸を右目で見たまま、画面に顔を近付けたり、離したりすると、あるところで×印が見えなくなってしまいます。
反対に右目を隠して、左目で×印を見ながら画面に顔を近付けたり離したりすると、
赤い丸が見えなくなる地点があるはずです。
これは人間の目に「盲点」があるために起こる現象です。
人間の目は網膜に左右に一つずつ「盲点」という何も見ることができない点があります。
この部分は視神経が集まって束になっており、「視神経乳頭」と呼ばれています。
視神経乳頭には光を感じる「視細胞」が存在せず、この部分に光が当たってもその信号は脳に届きません。そのため、脳は「見えていない」と判断します。
両眼で見ているときはお互いの目がお互いの盲点を補うように機能しているため、
盲点の存在を意識することはあまりありません。
しかし、先ほどの○と×の絵のように、片目ずつで物を見ているときには、
盲点の存在を確認することができます。
目と脳は片目ずつでも色や背景を補うことが出来ます。
先ほどの実験を背景に色のある図を使ってやってみると、脳が勝手に背景の黄色を補っていることが分かると思います。
脳と目の、見え方を補う機能はとても高度なため、緑内障や黄斑変性など、 視野が欠けてしまう病気は、かなり進んでいても脳が勝手に視覚情報を補ってしまうため、 視野の欠けている症状を感じないことがあります。
そのため、健康診断などで緑内障の疑い、と診断された場合は「視野検査」という検査を行い、機械で視野の欠けがないか検査する必要があります。
定期的な健康診断とフォローアップで目の健康を守りましょう。
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当てはまりません。
※ すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。