331:カラーコンタクトレンズのトラブルについて
こんにちは。新宿東口眼科医院です。4月も末になり、新緑の美しい季節になってまいりました。
今回のテーマは「カラーコンタクトレンズのトラブルについて」です。
【おしゃれ用カラーコンタクトとは】
瞳を大きく見せ、印象をがらりと変えてくれるカラーコンタクトは、現在ファッションの一部として当たり前になってきました。
こういった度なしのいわゆる「おしゃれ用カラーコンタクト」は、以前は法律上、「雑貨」として取り扱われていました。しかし使用者の眼のトラブルや眼障害が多発したため、平成21年11月4日規制が見直され、カラーコンタクトレンズも視力補正用コンタクトレンズと同じように「高度管理医療機器」として扱われるようになり、眼科医の処方がなければ、購入することはできなくなりました
【カラーコンタクトのトラブル】
薬事法の上で規制されるようになったものの、現在も雑貨屋などでは高度医療機器に指定される前のコンタクトが販売されており、インターネットでも承認や認可を受けていない海外からの輸入品を購入できてしまいます。2012年日本コンタクトレンズ学会が実施したカラーコンタクトレンズによる眼障害調査によると7月~9月の3ヶ月の間にカラーコンタクトレンズによる眼障害が395症例 報告されています。
カラーコンタクトレンズは酸素透過率が低く、間違ったケアや、装用時間を守らないなどの取り扱いの不注意に加えて、眼科受診せず購入した場合、目のカーブにレンズが合っていないために炎症を起こしてしまうことがあります。また、目に触れる内側の部分に色素が付着されているタイプのレンズでは、色素で目をこすって角膜に傷を作ってしまったり、時に色素が目の中で溶け出してしまうというトラブルもあります。そこから細菌・ウイルスが浸入して、重篤な疾患まで発展してしまうこともあります。さらに放置してしまうと、アカントアメーバー角膜炎、角膜潰瘍などの症状を引き起こし、最悪の場合失明に至ります。
日本コンタクトレンズ学会、公共社団法人日本眼科医会は、カラーコンタクト17銘柄に、参考として日本で承認を受けていない個人輸入品3銘柄を加えて安全性をテストしたところ、直径に関しては2銘柄、ベースカーブに関しては5銘柄、承認基準の許容差を越えるものがあったほか、着色部分が眼に直接あたるレンズの最表面に確認されたものが11銘柄あり、このうち9銘柄の製造元のホームページでは着色部分はレンズ内部に埋め込まれているという旨の記載がされているなどの問題点が確認されました。
また、眼に及ぼす影響としては、8時間の装用をした場合、透明なレンズに比べて矯正視力が低くなる傾向が12銘柄に見られたほか、1銘柄を除くレンズには治療や装用中止などの対応が必要になる程度の眼障害がみられたなど、眼障害につながるリスクも高いということも確認されました。
【カラーコンタクトを安全に使用するには】
以上の調査からも分かるように、一般的なコンタクトレンズに比べ眼障害の発生率が高いことが報告されています。そのためあまり積極的に勧められるものではありません。
しかし、どうしてもカラーコンタクトを使用したいということがあれば、しっかり眼科を受診し、厚生労働省から認可を受けている高度管理医療機器のカラーコンタクトレンズを使用しましょう。
高度管理医療機器であるコンタクトレンズは、品質保証体制の設備が確立されたメーカーにより製造されています。処方箋には、目にしっかり合ったレンズのデータ、装用者の眼の状態を確認した病院や医師の名前も表記されます。なるべく普段は透明なコンタクトレンズ、あるいは眼鏡を使用し、カラーコンタクトは必要なときだけ、短時間に限って使用することが望ましいです。
適切な選択と行動を心がけて、眼の安全を守りましょう。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
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●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。