319:眼圧が高いとなぜよくないの?
今週のテーマは「眼圧が高いとなぜ良くないの?」です。
1.眼圧上昇の原因
血管のない透明な組織である角膜を栄養するため、目の中は「房水」という液体で満たされています。この眼球内を満たす房水の圧力を、眼圧と呼びます。
房水は毛様体皺壁部で産生され、後房から虹彩を通って前房に流れ、最後は隅角の線維柱帯を経てシュレム管へ排出されます。
線維柱帯の目詰まりや隅角の閉塞により房水の排出が滞ると、眼圧の上昇をきたします。
2.眼圧が高いとどのような疾患をきたすのか
眼圧が高い状態が続くと、視神経が障害され緑内障を引き起こす場合が高くなります。
緑内障とは、視神経乳頭の陥凹拡大、網膜神経線維層の欠損をきたし、そこに対応した視野の欠けを引き起こす進行性の疾患です。視神経の障害は非可逆的であり、失った視野を取り戻すことは現代の医学では困難であるといわれています。
緑内障の治療は、点眼や手術により眼圧を下げることです。
3.眼圧上昇の原因による緑内障の分類
3-1:原発開放隅角緑内障
線維柱帯が目詰まりを起こし房水の排出が妨げられ慢性的に眼圧が上昇し、引き起こされる緑内障です。加齢や強度の近視、遺伝的な要因が主な要因とされています。
3-2:原発閉塞隅角緑内障
隅角が閉じて房水の排出が滞ることで眼圧が上昇して起こる緑内障です。急激な隅角の閉塞で眼圧が急上昇し起こる緑内障を、特に急性緑内障と呼びます。急性緑内障は、眼圧の急激な上昇により、突然のかすみ、痛み、吐き気、頭痛などの症状をきたします。隅角の狭いことを、狭隅角と呼びます。
4、眼圧の正常値
一般的に、眼圧の正常範囲はおおむね10~21mmHgの間とされています。しかし眼圧の数値が正常範囲内であっても視神経の萎縮が起こり、緑内障をきたす場合があります。このタイプの緑内障は正常眼圧緑内障と呼ばれ、日本人の緑内障患者の多くがこのタイプだと言われています。ご自身の眼圧が高くなく、正常範囲内であったとしても、治療の必要がまったくないとは限らないので、詳しくは医師までご相談くださいますようお願い申し上げます。
●上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談してください。
●一般の方向けですので医学用語が必ずしも厳密ではありません。
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●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先させてください。