306:染色液の種類
眼科では、眼の表面の状態や眼底の血管の確認をより正確にするために、色素を用いた検査をすることがあります。ここでは、前がん部に用いられる染色液と、眼底の造影のために用いられる色素の紹介をします。
前眼部に使用する染色液
◆フルオレセイン染色液
主に、角膜の状態を確認するために用いられる蛍光性の染色液です。角膜の傷があるところに染まり、青いライトを当てると染まった部分が黄色く光ります。傷の状態のほか、ドライアイを調べるためにも使われ、何通りか検査の方法があります。
・BUT検査(Breaking Up Test)・・・フルオレセイン染色液を点眼し、眼を開いた状態で、何秒で涙の層が破壊されるかを検査します。
・涙液メニスカス検査・・・涙液メニスカスとは、目を開いた状態で下瞼にたまる涙の量のことです。フルオレセイン染色液で涙に色をつけることによって、どのくらいの量がたまっているかを見ることが出来ます。通常、目の表面の涙は下瞼の下の部分にたまるので、涙の量に異常があるかこの検査でわかります。
◆ローズベンガル染色液
赤い色素のローズベンガル染色液は、主に結膜の傷を見るために用います。最近の研究では、角結膜上の「ムチン」と呼ばれる層が欠損している部分に染まるといわれています。
眼底に使用する色素(造影剤)
眼底の血管に異常がないか、色素を用いて検査をすることがあります。造影に用いられる色素は2種類あります。
◆フルオレセイン蛍光眼底造影
フルオレセイン蛍光眼底造影は、造影剤のフルオレセインを静脈に注射し、網膜の毛細血管を撮影します。血液に入った色素は蛍光を発し、フィルターを通すと血管が白く写ります。血管に異常がないかがはっきりとわかります。
例えば、異常な血管があるかどうかひと目でわかりますし、毛細血管が詰まっている場合、色素が流れていないため暗く写ります。さらに、血管が炎症などで損傷していた場合なども、蛍光色素が漏れ出た部分が白く写ります。
◆インドシアニングリーン蛍光眼底造影
こちらも、フルオレセインと同じく蛍光眼底造影剤ですが、フルオレセインよりも蛍光の透化性が高いため、フルオレセインでは検出が困難な網膜の下にある脈絡膜血管の評価にができます。
色素を使用することによって、通常では見えづらい病変がより明確に見えてきます。当院では、前眼部に用いるフルオレセイン染色液を導入しております。眼の乾きが気になる方は一度検査をしてみてはいかがでしょうか。