302:浮遊物が見えるのはなぜでしょうか
こんにちは、新宿東口眼科医院です。
皆様いかがお過ごしでしょうか。お風邪など召されませぬよう御自愛ください。
今回のテーマは「浮遊物が見えるのはなぜか」です。
1)生理的なもの
眼の中を満たす硝子体が活性酸素や加齢などで変性し、濁りを生じたせいで網膜に影を落とし、浮遊物として知覚される場合があります。
また、胎児の頃にあった硝子体内の血管の一部が生まれた後も残ってしまい、血管の名残が濁りとして残ってしまう場合もあります。
2)網膜疾患によるもの
網膜の剥離や出血等により、浮遊物を知覚することもあります。
2-1)後部硝子体剥離によるもの
硝子体が老化により弾力を失い、サラサラした水状に変性して濁りを生じる事があります。そして硝子体が収縮するときに網膜との接着部を牽引し硝子体が剥がれ、剥がれた硝子体が黒い点のように影を落として飛蚊症を引き起こします。
一般的に後部硝子体剥離は加齢と共に起こりうるもので、特に治療の必要はありませんが、網膜剥離や網膜裂孔に移行したり、まれにですが硝子体出血を引き起こすこともあるので経過観察が必要です。
2-2)網膜剥離によるもの
後部硝子体剥離が進行したり打撲したりするなどして網膜に穴が開き、網膜の毛細血管から出血し、飛蚊症として自覚されます。『墨を流したように黒いものが見える』『カーテンをかけたようにものが見える』などが典型的な訴えです。剥離の部位が黄班まで及ぶと、急激な視力低下をきたします。
2-3)その他網膜疾患
糖尿病網膜症による出血やぶどう膜炎の炎症によって、出血や炎症の物質が影を落として浮遊物が見える場合があります。その場合は、原因となっている疾患を突き止め、その治療を行います。
3)浮遊物が見えた場合の精密検査
網膜の疾患がないかどうかの検査を行います。
基礎検査として視力・眼圧を測定し、医師の判断により散瞳薬という目薬で瞳孔を広げて眼底検査を行います。
その後必要に応じて、目の奥の写真を撮ったりOCT(https://www.shec.jp/about/instruments/oct.html)で網膜の断層撮影を行ったりします。
網膜疾患が見つかりレーザー手術が必要になった場合は、即日レーザーを施行する事も考えられます。
生理的なものであるなどの診断がつき問題ないと医師が判断すれば、経過観察となります。生理的なものであれば徐々に薄くなるともいわれていますが、長く残り続けることもあります。
●上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。