272:遠近両用レンズのしくみ
こんにちは。新宿東口眼科医院です。
寒さが身にしみる毎日ですが、皆様お変わりありませんか。
今回のテーマは「遠近両用眼鏡レンズの仕組み」です。
「レンズの種類」
遠近両用眼鏡のレンズには、境目のない マルチフォーカルレンズ(累進タイプ)と、境目のあるバイフォーカルレンズ(2重焦点・小窓タイプ)の二種類があり、現在の主流はマルチフォーカルレンズです。
マルチフォーカルレンズは、レンズの上方に遠用の度数、下方に近用の度数が入っており、上から下まで度数が滑らかに繋がっているレンズで、目線(レンズを使う位置)によって見え方が変わり、遠くから近くまで一枚のレンズで見えるように度数が変化するレンズです。
「レンズの特徴」
レンズにはそれぞれ良い点と悪い点があります。
マルチフォーカルレンズ
良い点…〇境目がなく見た目が良い
〇中間距離も見えやすい
悪い点…×近用部分が狭い
×歪み等があり、慣れるのに時間が必要
バイフォーカルレンズ
良い点…〇境目があるので目線を動かす場所がわかりやすい
〇歪みが少なく慣れやすい
悪い点…×小窓がついていて見た目が良くない
×中間距離が見えづらい
×中間度数がないため像が飛んで見えることがある
「マルチフォーカルレンズの種類」
マルチフォーカルレンズには、いくつかの種類があります。
①遠近タイプ:遠方から近方まで、眼鏡をかけたり外したりせず見たい方にお薦めのレンズです。レンズの上方に遠用、下方に近用度数が入っています。
②中近タイプ:室内(テレビなど)から手元(パソコンなど)を見るための、室内用の眼鏡としてお薦めのレンズです。上方ギリギリの部分に遠用、正面付近に中間、下方に近用度数が入っています。
③近近タイプ:デスク周り(パソコンやデスク上の書類)を見るのにお勧めで、眼鏡をかけたまま歩かない方向けのレンズです。
どのレンズが向いているかは、その方の生活スタイルや、見たいものによって変わります。医師、検査員にご相談ください。
「マルチフォーカルレンズの使用方法・注意事項」
①眼鏡をきちんとかける:レンズの場所によって見え方が変わるので、鼻眼鏡などにせず、正しい位置で眼鏡をかけることが大切です。
②目線の使い方:遠く見るときは顔も目線もまっすぐにして、レンズの上方を使うようにします。近くを見るときは、顔はまっすぐのまま目線だけを下にして、レンズの下方を使うようにします。本など、見たいものを自分の胸のほうに引くようにすると、下方視しやすくなります。
③下り階段に注意:階段を下る時は目線が下がり、近用部を使うような姿勢になりやすいので、斜め前が歪んで見えることがあります。顔ごと下に向けて足元を見るようにして、手すりにしっかり掴まってゆっくり降りるようにしましょう。
④横目は禁止:目線がレンズの左右にずれると、レンズの構造上 歪みが生じます。運転時、特にバック時は注意が必要です。また、歪みは加入度数(遠用度数と近用度数の差)が大きいほど顕著になります。老視の初期から眼鏡をかけはじめ、慣らしていくとよいでしょう。
マルチフォーカルレンズは、使用方法を間違えると見づらい眼鏡になってしまいます。遠近両用眼鏡についてわからないことがあれば、お気軽に医師・スタッフにお尋ねください。眼鏡を正しく使って、快適な視生活を送りましょう。
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