241:甲状腺眼症
こんにちは、新宿東口眼科医院です。
徐々に夏らしくなってきましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
さて、今週のテーマは「甲状腺眼症」です。
1)甲状腺眼症とは
甲状腺眼症とは、甲状腺自体の機能の正常・異常に関わらず、抗体が眼の奥にある眼球を動かす筋肉や脂肪に炎症や浮腫(腫れ)を起こす事により様々な眼の症状を起こすのが甲状腺眼症です。
2)甲状腺眼症の症状
初めの症状は、瞼の赤みや腫れ、眼窩部の腫れ(炎症性浮腫)による目の奥の痛みや重さなどがあります。眼窩部の腫れに押し出される形での眼球突出・眼球運動の障害・上眼瞼後退が起きます。また進行すれば、視神経を圧迫する可能性もあります。
患者さん本人の訴えとしては、「鏡で見た時に、私の眼が飛び出して見えるんです」「瞼が腫れているんです」という整容面的なものや、眼球運動が障害された事によって起きる複視(物がダブって見える症状)や、充血などが主です。初期の段階では結膜炎や眼瞼炎との判別が難しく、眼科医でも診断が困難な場合もあります。
3)甲状腺眼症の治療
眼科的には、腫れてしまった脂肪や筋肉を元に戻す事が治療になります。ステロイドの投与などでコントロールを行います。また眼球運動の異常によるダブりが強く、生活のうえでの不便が強い場合は、眼の筋肉を短くする手術を行う場合もあります。早期の治療であればあるほど効果が期待できると一般的に言われています。
内科での甲状腺のコントロールが良好でも、眼の症状が良くなるとは限らない点です。内科領域の治療だけでなく、眼に症状がある場合は眼科とも連携をとる事が重要です。
甲状腺眼症に限らず目について気になること、ご不明な点がございましたら、当院へご相談ください。
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●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。