230:OCTについて
こんにちは、新宿東口眼科医院です。
風そよぎ気持ちのいい日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
さて、今週のテーマは「OCTとは」です。
OCTとは‘Optical Coherence Tomography’の略語で、正式名称は「光干渉断層計」といいます。光の干渉原理を使い、赤外光で目の奥にある“網膜”をスキャンして網膜の断層画像を取得する医療機器です。この器械では、網膜の状態を調べることができ、日本人の失明原因の上位にある緑内障や糖尿病性網膜症などの目の病気の診断に役立っています。また、専用のアダプタをつけることで、角膜などの前眼部とよばれる部分を観察するオプションもあります。光干渉断層計を使った診断が2008年度に保険診療適用となったこともあり、現在加速的に普及が進んでいます。人間の網膜は厚さわずか0.1~0.3mmのとても薄い透明の膜で、10層で出来ています。これまでは、眼底カメラという器械を使って写真を撮り、網膜を平面的に見ることしかできませんでしたが、OCT技術の発展により、網膜の断面図を高精細に見たり、立体的に見たりすることができるまでになりました。OCTによる検査は薬剤を使用せず、眼に触れないため痛みを伴うこともありません。
当院では、光学・オプトエレクトロニクスで世界をリードするドイツ最大の光学機器メーカーの日本法人、カールツァイス株式会社のシラスHD-OCTモデル400を導入しております。シラスHD-OCTモデル400は近赤外線を利用しており、OCT2000、OCT3000を越えた最新機器になります。これまでのOCTよりも測定原理が最新技術を駆使している為、情報量が非常に多くなりました。前眼部・視神経・網膜、全てのレポートが必要十分かつ簡潔にまとめられており、パッと見ただけで瞬時に直感的に結果を理解することが出来ることができます。(※当院では前眼部を観察するオプションはついていません。)また、3D画像が撮れる点も大きな違いです。
最近では前眼部に特化し、さらに立体観察が可能になった前眼部3次元光干渉断層計(Optical Coherence Tomography)も話題を呼んでいます。これは通常のスリットランプでは見ることのできない隅角や隅角や角膜混濁、結膜、強膜、虹彩裏面、毛様体扁平部の微細構造まで画像化できるタイプです。眼底用のOCTよりも長い波長の光原を使用するため、高速での測定も特徴となります。
OCTは網膜の断面を観察しますので網膜疾患、特に黄斑部病変の精密な診断が早期かつ正確に行うことができます。
<対象疾患>
黄斑円孔・・・黄斑に接する硝子体が年齢の変化で変形し、網膜の中心部分の黄斑部を引っ張ることにより網膜に穴が開く病気です
黄斑上膜・・・黄斑の表面に膜が張った状態でおこります
糖尿病網膜症・・・糖尿病網膜症は、糖尿病の3大合併のひとつです。網膜の毛細血管がおかされて酸素が不足することでもろい新生血管がつくられ、眼球内で出血をくりかえしていきます。
黄斑浮腫・・・網膜の中心となる黄斑部に液状な成分がたまり、浮腫みを起こし視力が低下する病気です。
加齢黄斑変性・・・網膜の中心にある黄斑部が老化して、老廃物が蓄積されると網膜の下に新生血管が生え、視細胞の破壊や出血により視力障害を起こします
緑内障・・・何らかの原因で視神経が障害され視野(見える範囲)が狭くなる病気で、眼圧の上昇がその病因の一つと言われています。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。