222:老眼について
こんにちは。新宿東口眼科医院です。風邪等で体調をくずしやすい時期ですが、皆様ご自愛ください。さて、今回のテーマは「老眼について」です。
老眼とは、遠くを見たり近くを見たり、自由にピントを変える力が衰えることによって起こるもので、近くのものを見る際に困難をきたした状況を指します。人間であれば避けて通る事が出来ない老化現象、視力障害の1つであり、正式には老視といいます。
●老眼の原因
眼は光を屈折させるレンズの役割をする組織で多く構成されています。特に、角膜と水晶体という部分は光を屈折させる力が非常に大きい組織です。水晶体の周りの筋肉は、水晶体の屈折力を状況に応じて変化させる役割を果たしており、近くのものを見ようとするときは屈折力が大きくなるよう水晶体の厚みが増加します。私たちの目はこのような調節を自動で行っています。若い人ほど調節力が大きいのですが、この力は老化とともに衰えてきます。40歳代くらいから、徐々に近くを見る作業の時に眼が疲れるなどの不快感を感じ始めます。
●老眼に似た症状
老眼は加齢が最も大きな原因ですが、最近では若い方でも老眼に似た症状が出る事よくあります。それは、パソコン、ゲーム、携帯電話などで眼を長時間酷使することにより、近くのモノが見えづらくなってしまうということがあります。これは目が疲れているためで、こうしたときはぼやけて見えることもあります。症状が悪化すると頭痛がしたり、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。したがって、眼の疲れを感じたら、遠くを見たり、眼を休ませるなどして疲れを取ってあげる事がとても大切です。
●老視の対策
老視の対策方法としては、主に以下の4つがあります。
(1) 老視用の眼鏡
合いにくくなったピントを調節します。自分なりのチェックをしてみて、ピント調節が必要だと思う人は老眼鏡をかけ、近くを見えやすくなるようにします。
(2) 老視用のコンタクトレンズ
遠くも近くも見えやすくなるという両機能を持ち合わせた、遠近両用のコンタクトレンズです。1枚のレンズに遠用度数と近用度数を組み込んだレンズを使用しています。レンズの構造により次の5つに分られます。
(2-1)交代視タイプ
視線を変える事によりレンズの遠用部や近用部を使い分けて近く、遠くを見ます。ハードレンズはほとんどがこのタイプです。
(例)プレリーナ
メニフォーカルZ
(2-2)同時視タイプ
眼の中では遠くにも近くにも同時にピントが合っています。どちらを見るかは頭が切り替えます。ソフトレンズは全てこのタイプです。
(例)1dayPureマルチステージ
メダリストプレミアマルチフォーカル
(2-3)バイフォーカル
レンズの中には遠く用と近く用の2種類の度数がありハッキリ分かれています。中心部、周辺部どちらに遠用、近用が配置されているかはレンズにより異なります。
(例)クリアライフ
(2-4)マルチフォーカル
レンズの中心から周辺部に向かって徐々に度数が変化しているタイプ。このタイプも中心部、周辺部どちらに遠用、近用が配置されているかはレンズにより異なります。
(例)メダリストマルチフォーカル
(2-5)モノビジョン
わざと左右の度を変え、右眼は正視、左眼は近視(または右眼は近視、左眼は正視)にする方法によって片目を使い分けている状態をいいます。
(3) レーシック
レーシック(Lasik)とは、Laser in Situ Keratomileusisの略語で、角膜屈折矯正手術を指します。エキシマレーザーという機械で眼の角膜を薄く削り、屈折力を調整して視力を矯正します。日本では2000年1月厚生労働省に、エキシマレーザーの安全性が認められした。メガネやコンタクトに代わる第3の視力矯正方法として、現在注目を浴びています。老視や老眼に対しても、近方視力を回復するために行われる老眼手術があります。老眼手術の種類には、アキュフォーカスリング、モノビジョンレーシック、CK (Conductive Keratoplasty)、遠視レーシック、マルチフォーカルIOL(遠近両用IOL)が挙げられます。詳しくはこちらをご覧下さい。
(4)遠近両用眼内レンズの挿入
そもそも眼内レンズは、白内障を治療する際に行われていたものでした。従来の眼内レンズでは「遠く・中間・近く」のいずれにしかピントを合わせる事が出来なかったのですが、近年、近くだけでなく遠くや中間も同時に良く見えるようになった眼内レンズが開発され、それが白内障の治療だけではなく、老眼の対策に使われるようになりました。
使用されるレンズは「近くと遠くが良く見える」「遠くと中間が良く見える」タイプがあります。また、1種類のレンズを使用するだけではなく、2種類のレンズを組み合わせる治療法もあります。詳しくはこちらをご覧下さい。
ただし、老眼だと思っていても、実は違う眼の病気が原因で似た症状がでることもあります。気になることがありましたら、気軽に眼科を受診し、先生に相談してみてください。
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●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。