216:アレルギー性結膜炎について
新年明けましておめでとうございます。新宿東口眼科医院です。
昨年のご購読誠にありがとうございました。本年も皆様のお役に立てるメールマガジンの発行に
努めたいと思います。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、今回のテーマはアレルギー性結膜炎についてです。アレルギー性結膜炎とは、
花粉や住まいの中にあるほこりなどが原因になって起こる目のアレルギーのことをいいます。
結膜は外からの刺激や異物にさらされやすい組織で、涙でいつもぬれています。
そのため、ハウスダストや花粉が付着しやすく、アレルギーが起こりやすいのです。
アレルギーを起こす原因物質を「アレルゲン」と言います。ハウスダストといわれるダニやカビ、
動物の毛やフケ、花粉などが代表的なアレルゲンです。
<発症のしくみ>
人の体は、異物が侵入すると免疫反応により抗体や感作リンパ球を作って防御し、
再びその異物が侵入したときは、すばやく反応して異物を除去・無害化します。
この免疫反応が強く起こり、自分の体を傷害してしまうことをアレルギーといいます。
このアレルギーによる結膜炎がアレルギー性結膜炎で、アレルギー性鼻炎の他、
アトピー性皮膚炎、気管支喘息などのアレルギー性疾患に伴うことが多いとされています。
<症状>
充血、眼がかゆい、涙がでる、異物感がある(ごろごろする)、めやにが出る、など
<分類と原因>
1 季節性アレルギー性結膜炎(結膜花粉症)
など
2 通年性アレルギー性結膜炎 ハウスダスト、ダニ、カビ、ペットの毛など
3 急性アレルギー性結膜炎 点眼剤、化粧品など
<診察所見>
診察所見として眼の充血や瞼の裏の結膜にブツブツとした濾胞や巨大乳頭結膜炎がみられます。この濾胞が眼球の結膜や角膜とこすれあうことで異物感を引き起こします。
また、瞼の裏結膜の充血・白目の結膜充血の他、こすりすぎによって白目がぶよぶよと腫れてしまう結膜浮腫が生じる場合もあります。
<検査方法>
・目やにを取って好酸球というアレルギーを起こす細胞の観察を、顕微鏡で行う検査方法もあります。
・アレルギーを起こす原因であるアレルゲンを調べるために、採血や穿刺をして血液検査(生化学的検査)を行なう事もあります。
生化学的検査方法は、「イムファストチェック(承認番号21600AMZ00501000) 」「特異的IgE(MAST33アレルゲン)」の2つです。イムファストチェックはごく微量の血液を採取し3項目のアレルゲンに対しアレルギーがあるのかを検査し、特異的IgEは採血をして33項目のアレルゲンに対しアレルギーがあるのかを検査します。イムファストはその場で、特異的IgEに関しては後日結果をお知らせします。特異的IgEは採血処理が必要なため、検査は看護士が勤務している日にのみ承れます。ご希望の方はお気軽に先生やスタッフにご相談下さい。
<治療>
「アレルゲンに対しアレルギー症状が発症しないように体質を改善する」という治療は
現在の時点で確立されておりません。現在の治療法は主に下記の2つが挙げられます。
1アレルギーの原因と接触しない
花粉:花粉のない地域への移動、マスク、防塵メガネなど
ダニ、ハウスダスト:部屋をよく掃除する、風通しをよくする、絨毯はさける、
空気清浄器などの設置、など
以上のようにアレルゲンとの接触を極力回避し、症状が出てしまうのを防止します。
2 抗アレルギー点眼剤でアレルギー反応をブロックする
症状の強い場合には、点眼剤を使用することで症状の発現を抑えます。
また、発症前に使用することで予防効果のある点眼剤もあります。
(1) ケミカルメディエータ遊離抑制剤:免疫細胞からの化学物質の放出 を抑え、
痒みなどの症状を予防します。
(2) ヒスタミンH1拮抗点眼薬:ヒスタミンの受容体に結合または阻害することで
アレルギー症状発生を抑えます。
(3) ステロイド点眼剤:合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)で炎症をおさえて
症状をやわらげます。
他のウイルス性の結膜炎や細菌性の結膜炎、ドライアイなどと症状が似ているため、
自己判断は禁物です。気になる症状がありましたらお気軽にご来院ください。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
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●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。