212:ドライアイの種類
こんにちは。新宿東口眼科医院です。
空気も乾燥してまいりましたが、皆様お体には十分お気をつけ下さい。
今回のテーマは「ドライアイの種類」についてです。
ドライアイとは、様々な要因により、涙の減少やあるいは成分が変化して質が悪くなることによって眼の表面に障害が起き、目の不快感や視機能の異常を伴う状態のことです。主な症状としては「眼が乾く」「眼が疲れる」「眼がごろごろする」「眼がしょぼしょぼする」「眼が痛い」「光がまぶしい」などの訴えのほか、「夕方になると眼が見えにくい」など、一時的な視力低下も見られます。
ドライアイは主に以下のタイプに分けられます。
涙の量の異常によるもの
・涙液減少型ドライアイ
目は刺激を受けたり、乾いたりすると、反射的に涙を流して涙の膜を安定させようとします。しかし、涙液減少型ドライアイでは、『目の刺激→神経伝達→涙の分泌』というシステムに異常があり、目が乾いても涙が分泌されにくくなります。
涙の質の異常によるもの
・蒸発亢進型ドライアイ
涙は涙液層という3層からできています。角膜に接しているのはムチン層で、涙を目の表面にとどめる働きがあります。ムチン層を覆っているのが水層で、涙の大部分が水層からできています。一番外側にあるのが油層で、涙液の蒸発を防止する役割をしています。蒸発亢進型ドライアイでは、涙膜の油層を作っているマイボームという組織に異常があり、油層が十分に分泌されず、涙が蒸発しやすくなります。
・BUT短縮型ドライアイ
涙液の量には異常がないのに、表面の涙の膜が破壊されるまでの時間(BUT=Break Up Time)が極端に短いのが特徴で、このため目の表面に涙が広がりにくくなり、涙が安定的に目の表面を覆わないため、目がとても乾きやすくなってしまいます。通常、瞬目の後には10秒以上涙液層が角膜上に保持されますが、BUT短縮型ドライアイは、すぐに涙液層が破壊されてしまいます。パソコンなどの作業をすることが多い人や、コンタクトレンズをつけている比較的年齢の若い方の間では、男女問わず「BUT短縮型ドライアイ」の患者さんが増えています。
検査
涙の量が少ないことによるドライアイと、涙の質の異常によるドライアイでは行う検査が異なります。
涙の量の異常によるもの
主にシルマー検査という涙の量を調べる検査を行います。目盛りのついた試験紙を下まぶたの端に5分間挿入し、試験紙が涙で濡れた長さで、涙の量を測ります。 涙の量が5mm以下の場合、ドライアイが疑われます。
涙の質の異常によるもの
主に眼の表面の障害を見る検査を行います。フルオレセインにより角膜の障害された部位が染まるので、細隙灯顕微鏡で染色部を観察して障害の程度をみます。
BUT短縮型ドライアイでは、BUT検査という、涙液をフルオレセインという試薬で染色し、瞬きを我慢してもらい角膜表面の涙液層が破壊されるまでの時間を測定する検査を行います。ムチンの分泌に問題がある場合、フルオレセインでは検出されにくいため、ローズベンガルというピンク色の試薬を使う場合もあります。
治療
当院では以下の治療を行っております。
① 点眼液による治療
ドライアイの治療に使われる主な点眼液は、涙に近い成分をもつ人工涙液と角結膜上皮障害治療剤の2種類です。これらの点眼薬の中には涙の成分であるムチンや水分の分泌を促進し、涙の状態を改善することで角結膜上皮の障害を改善させるものがあります。
② 涙点閉鎖による治療
涙の排出口である涙点を閉じ、涙の流出を抑えて、涙を目の表面に十分にためる方法です。
当院で使用するプラグには3種類あり、シリコンプラグ、コラーゲン製涙点プラグ、
パンクタルプラグFがあります。
・シリコンプラグ
サイズが豊富なので、涙点が小さい方でも大きい方でも合わせられフィット性、
保持性に優れています。
・コラーゲン製涙点プラグ
生体適合性の高いアテロコラーゲンを使用しており、体温によりゲル化する特性を利用して、
充填時には液状のため簡単に充填でき、涙小管内ではやわらかいゲルとなり刺激が少なく、
かつしっかりと涙点を閉鎖できます。
・パンクタルプラグF
涙点へプラグを挿入しやすく、さらに挿入の際にかかる患者さまの負担を軽減するため、
プラグ挿入前は、先端形状をより細長く変形させ先端の膨らみを小さくしております。
③ アイホット(熱気罨法)による治療
眼の周辺を暖めることによってマイボーム腺がゆるみ、脂分の分泌が促進されます。
分泌した油分は目の疲れを癒す最適な油層を目の表面に形成します。
ドライアイの患者様は年々増え続けています。ドライアイの治療法はいくつかございますので、
まずは点眼治療から始めていただき、それでも改善されなければ涙点プラグなども治療法も
ございますので、お気軽にご相談ください。お待ちしております。
●上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。