206:うつる結膜炎とは
こんにちは、新宿東口眼科医院です。
紅葉が待ち遠しい時季になりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回のテーマは「うつる結膜炎とは」です。
はやり目と呼ばれることもあります。はやり目にはいくつか種類があり、ウイルスや細菌によって起こる大変伝染力の強い結膜炎です。
今回はそれらの原因、症状、注意点などについて解説していきます。
◆ 流行性角結膜炎(アデノウイルス8型、4型、37型、19型)
5~7日の潜伏期間を経て発症します。経過中にも角膜にも変化が生じ、伝染力が非常に強いです。涙が出る、異物感、眩しい、半透明の粘り気のある目やにが出るなどの症状があります。また、点状表層角膜炎が発症後1週間頃に出ます。乳幼児には偽膜形成も見られます。
◆咽頭結膜熟(アデノウイルス3型、4型、7型)
プールで感染することがあり、プール熱ともよばれます。5~6日の潜伏期間のあとに結膜にブツブツができ、39~40度の発熱と咽頭炎(※いわゆる喉風邪)の症状が出ます。
角膜(黒目)には症状がなく、約10日で自然治癒します。
◆ 急性出血性結膜炎
(エンテロウイルス70型)
アポロ病とも呼ばれます。潜伏起期1~2日で突然眼球結膜に出血を起こし、異物感、充血、結膜にブツブツができます。角膜(黒目)の上皮欠損が見られる場合もあります。
ウイルスによる結膜(白目)の充血 ウイルスによる瞼の裏側のブツブツや充血・瞼の腫れと流涙
◆細菌性結膜炎
細菌の種類によって多少異なりますが、一般的には急性または亜急性に発症し、充血、膿(うみ)をもっためやに(眼脂(がんし))や、ねばねばしためやに、流涙(りゅうるい)がおこります。とくに淋菌では、膿性のめやにをともなった結膜炎が特徴的です。
重篤(じゅうとく)な場合には、細菌性角膜潰瘍(さいきんせいかくまくかいよう)ができて激しい眼痛をおこしたり、菌血症(きんけつしょう)や髄膜炎(ずいまくえん)などの全身の病気に至るものもあります。
<おもな原因>
□ウイルスによるもの
原因のウイルスには、アデノウイルス、エンテロウイルス、ヘルペスウイルスなどがあります。いずれも他の人からウイルスが体に入って発症するものであり、他の人に感染させる力も強く、家族内感染や学校内の集団感染などの原因になります。きちんと予防しないと、短期間に職場や家、学校で流行して、同僚や家族、友人にも感染してしまいます。
□細菌によるもの
原因となる細菌(原因菌)には、ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、レンサ球菌、淋菌(りんきん)、緑膿菌(りょくのうきん)など、さまざまなものがあります。
<検査方法>
当院では、「「キャピリア アデノアイ(承認番号:21700AMZ00071000)」」というアデノウイルス抗原を迅速に検出する試薬により、アデノウイルスによる感染の有無を確認しております。※潜伏期間、症状により反応がない場合もある為、参考のひとつとさせて頂いております。
<注意点>
はやり目は大変感染力の強い結膜炎です。 家族や友人にうつさないため、下記の点に注意しましょう。
◆プールは医師の許可が出るまで入らない。
◆ タオルや洗面器は別にしましょう。
◆ 手指は石鹸でよく洗い、消毒用アルコールで消毒しましょう。
◆他人の目薬を使用したり、手で目をこすったり、顔にふれないようにしましょう。
◆入浴する場合、家族の中で最後に入り、残り湯は洗濯には使わず流しましょう。
◆涙、目やなどを拭いたティッシュはビニール袋に入れて捨てましょう。
次々に感染する危険がありますので、保育園、学校、職場は医師の許可が出るまで休むようにしましょう。
●上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。