163:レーシックとは
こんにちは。新宿東口眼科医院です。
いよいよ今年もあと2週間となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?
今回のテーマは「レーシックとは」です。
※当院ではレーシック手術は行っておりません。
レーシックは角膜の形状を変化させることで屈折矯正をする保険外の手術です。今まで屈折矯正には眼鏡やコンタクトレンズが主流でしたが、最近では当院を受診される患者様の中にもレーシックをされた方は少なくありません。今回はレーシックの方法・利点やリスクについて解説してゆきます。
何故角膜を処置するのか
人間の目のレンズ機能を果たしている部分は水晶体と角膜です。平均して角膜と水晶体で60D(ディオプター:レンズのパワーを示す単位)と言われており、水晶体は20D、角膜は40Dの屈折力を持つと言われており、角膜の屈折力は目全体の屈折力の2/3を占めます。そのレンズの役割を果たしている角膜を削り、形状を変えることで目全体の屈折力を変化させ、眼鏡やコンタクトレンズでの矯正を不要にするのがレーシックです。
手術の方法・種類
以下が、近視矯正のスタンダードな手術の流れです。
・ レーザー機器もしくは、マイクロケラトームと呼ばれる眼球用カンナで角膜の表面を薄くスライスし、フラップ(ふた状のもの)を作り、めくります。
・ 表出した角膜実質層にエキシマレーザーを照射し、一部を削り(蒸散させ)、その後、フラップを元の状態に戻しますフラップが自然に吸着します。
・ 角膜中央部が薄くなるため、角膜の曲率が下がり(凹レンズを用いたのと同じ効果)、近視が矯正されます。
また、現在では以下のようなレーシック手術も開発されてきています。
フェムトセカンドレーザー
旧来はマイクロケラトームのブレード(刃)で角膜にフラップを作成していましたが、フェムトセカンドレーザーの発達により、他の組織を損傷・変形させることなくより正確に「フラップ」の作成が可能になりました。
エキシマレーザー
エキシマレーザー光は波長が短いため、角膜の一部分を必要なだけ正確に除去することが可能です。また、レーザーといっても熱を発するものではないため、熱に弱い角膜組織に悪影響を与えることが少ないと言われています。
ウェーブフロントレーシック
ウェーブフロントレーシックは、エキシマレーザーで屈折矯正を行う前に、ウェーブフロントアナライザーという細かな光の屈折のズレを解析する機器で、眼球表面の形状を解析します。解析されたデータを元にエキシマレーザーで収差(ズレ)を限りなく取り除く手術が行われ、乱視のより正確な矯正効果をねらいます。
エピレーシック
エピレーシックは、専用のエピケラトームという機器を使用し、より薄いフラップを作成して屈折矯正を行う術式です。角膜上皮のみのフラップ作成ですので、レーシックが困難な角膜の厚みが足りない方、強度近視の方に受けることができる手術です。
どれも視力は術後直後から1日程度で矯正されるといわれています。視力が安定するには1週間から1ヶ月程度を要し、90%以上の人が裸眼視力1.0以上になります。
レーシックをする際の注意点
フラップは時間の経過とともに安全な強度に近づきますが、元には戻りません。強い外圧がかかるとフラップがずれる場合がある。このため格闘技の選手等、顔面に衝撃を伴う職種には向きません。また、角膜に一定の厚さが必要なため、角膜が薄い場合や眼に疾患等を抱えている場合は、手術が受けられないほか、近視の進行する10代の方には手術が受けられない場合があります。
近視・遠視・乱視を矯正するための手術であるので、加齢により水晶体がピントを合わせる機能が衰えることで進行する老眼には有効でなく、お手元の見えにくさは加齢とともに出てきてしまいます。また、日本国内ではレーシック手術をした人はパイロットの受験資格がなくなります。
レーシックの合併症
矯正の過不足以外にもレーシックには以下のような合併症が挙げられます。
・矯正視力(眼鏡やコンタクトレンズ、再手術による矯正も不能なケース)
・フラップのしわ
・フラップの下の塵や腫瘍
・フラップの穴
・照射のずれによる乱視
・角膜拡張
・飛蚊症
・上皮侵食
・後部硝子体剥離
・黄斑円孔
・角膜感染症
・ドライアイ
角膜疾患から目の奥の網膜疾患まで影響部位はとても広いのが特徴です。
視力矯正に眼鏡やコンタクトレンズがいらなくなるのが最大の利点ですが、手術である以上、一定のリスクは存在します。また、レーシックをするにあたっては眼疾患がないのが絶対条件になりますので、レーシックをお考えの方で何か気になる症状のある方は、お気軽にご相談ください。
●上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
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●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。