夕焼け状眼底とは、非感染性のぶどう膜炎である「原田病」でみられる症状のひとつです。
原田病は全身の色素細胞(メラノサイト)が自己免疫作用によって攻撃・破壊される自己免疫疾患のひとつです。メラノサイトは眼のぶどう膜(虹彩・毛様体・脈絡膜)、皮膚、頭髪、髄膜、内耳などに豊富なため、原田病はぶどう膜や髄膜、内耳に炎症などの症状をもたらします。
夕焼け状眼底は、原田病の晩期・回復期に見られる症状で、脈絡膜のメラニン色素細胞が崩壊(脱色素)したために、脈絡膜の血管が透けて見え、眼底があたかも夕焼け空のように真っ赤に見える事から名づけられた症状名です。
真っ赤な眼底写真をみるとびっくりしますが、原田病が晩期・回復期を迎えたことを示す症状のひとつであり、予後は比較的良好な場合が多く、炎症がなければ経過観察となるといわれています。
原田病は全身のメラニン色素を豊富に持つ細胞が侵されるため、晩期・回復期には脈絡膜に限らず、皮膚や頭髪などにも白斑や白髪といった症状が出ることもあります。
夕焼け状眼底と似た症状を示す病気に白子症があります。
白子症とは先天的にメラニン色素がないか、極端に少ない病気で、ぶどう膜の色素が先天的に少なければやはり真っ赤な眼底となります。眼の白子症の場合、羞明をともなう事が多く、黄班部が確立されていない場合、視力不良となります。
ただし、視力の低下や炎症などの症状がなければ、経過観察となる場合が多いようです。