急性前部ぶどう膜炎
急性前部ぶどう膜炎とは
急性前部ぶどう膜炎は片目に突然発症する、繊維素の析出を伴う炎症の強いぶどう膜炎です。
主に前眼部に限られており、虹彩炎(前房の炎症のみ)、虹彩毛様体炎(前房および前部硝子体の炎症)の一方または双方を言います。
急性前部ぶどう膜炎の症状
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主に、目の痛み、充血、羞明、視力低下が起きます。程度は様々です。
- 急性前部ぶどう膜炎の特徴
- この病気の特徴として、「強直性脊椎炎」などの全身病に伴って起こることがあります。
これは、脊椎と仙腸関節(背骨と骨盤を結合する関節)に炎症が起こり、軟骨が骨になる原因不明のもので、この患者の約90%がHLA-B27を持っており、そのうちの半数に急性前部ぶどう膜炎が見られます。
白人に多く、欧米では強直性脊椎炎はぶどう膜炎の主要原因の一つになっています。
急性前部ぶどう膜炎の原因
原因は不明なものが多いですが、ヘルペスによるもの、強直性脊椎炎(脊椎と仙腸関節※背骨と骨盤を結合する関節 に炎症を起こす疾患)に伴って起こるもの、糖尿病に関連するものがあります。
急性前部ぶどう膜炎は白血球の血液型のようなものを持つケースが多いことが分かっています。
血液の中の液体成分である血漿から分離される糊のような物質を線維素といい、炎症で破壊された組織を補修する役割がありますが、この病気で前房に線維素がでてくると、虹彩が水晶体や角膜と癒着してしまう為に眼圧の上昇に繋がり、目に悪影響を及ぼします。
また、房水の中に貯まると下方に沈着して「前房蓄膿」と呼ばれる状態を起こします。
急性前部ぶどう膜炎の眼科的所見
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- 角膜に隣接する結膜の充血(毛様充血または輪部充血)
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- 角膜後面沈着物(角膜内表面の白血球集簇)
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- 前房(房水内)の細胞およびフレア(もや)
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- 虹彩後癒着
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- 重度になると、前房蓄膿
急性前部ぶどう膜炎の治療
治療は症状に応じてステロイド薬、非ステロイド抗炎症薬、散瞳薬の点眼・内服・結膜下注射が行われます。
再発することが多いので、異常を感じたら早めに眼科医を受診することが大切です。